リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
ワクチン接種25%強、「非常事態宣言」解除でも…なぜリーガのスタンドに観客が戻ってこないのか?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/05/09 11:00
シーズンの佳境を迎えるリーガ。今季はこのまま無観客のまま終わってしまうのか
今シーズン中のスタンド再開は勧められない
準備は万全である。
ところが、最終的な判断を下す保健相カロリーナ・ダリアスに強く反対されてしまった。感染抑制に「大きな地域差」があるからだ。
スペイン全体の新規感染者はゆるやかに減少し始め、一般的に使われている指標“住民10万人あたりの直近14日間の累積感染者数”は229人だけれど、ダリアスは「70人以下の州もあれば500人以上の州もある」ので「今シーズン中のスタンド再開は勧められない」というのだ。
参考までに3日のデータによると、日本は57人、深刻な医療崩壊が起きているインドは363人である。
リーガはウェブサイトで声明を発表
リーガは直ちに反応し、ウェブサイトで声明を発表した。要点は次のとおりだ。
・各州の状況に応じ、最終決定権を当該州に委ねるので、スタンドに観客を戻したい。
・1部と2部を代表する14クラブで構成されているリーガ代表委員会は、州政府の反対により「無観客」を余儀なくされるクラブが現れることを承知の上で、満場一致でスタンド再開を可決している。
・この条件下でも競技の公平さは保たれるとクラブ側は考えている。
・スタンド閉鎖措置は差別的かつ一貫性を欠くとリーガは考えており、同様にその被害に遭ってきたACB(バスケットボールリーグ)と緊急会合を開いて、スタンド再開を早急に再考してもらえるよう試みる。
差別的で一貫性を欠く云々は、2部B以下のサッカーや女子バスケ、ハンドボールなどの試合が制限付きながら観客ありで行われているからだろう。