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ぬけぬけ病、大ブレーキ、心の病「でも、もう吹っ切れました」 元駒大エース工藤有生が戦い続けた“苦悩の3年間”
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/05/12 11:03
元駒大エースでコニカミノルタ所属の工藤有生さん。今年4月に現役引退を発表した
苦しい5年間に「吹っ切れました」
走ることは、やめていない。すでに市民ランナーとして走り始め、5000mを13分台で走る自己プロジェクトをスタートさせた。また、今年中にマラソンにも挑戦予定だが、そのポテンシャルからいきなりエリートランナーレベル(サブ2.5)のタイムを出しそうだ。
「いやーどうですかね。あまり期待しないで見てもらえると嬉しいですね(笑)」
表情にパッと笑顔が広がる。
「いい笑顔ですね」というと、「これまで笑えなかったですから」とポツリとそう言った。
「大学3年の時に症状が出てから苦しい5年間でした。でも、もう吹っ切れました。自分の人生、これからだと思っています」
立ち姿は、現役の頃と変わらない。
マラソン挑戦に向けて「絞っています」と答える表情からは、走ることを楽しんでいる様子が垣間見えた。箱根駅伝7区の自分のビデオは封印したままだが、もうそのままでいいのではないか。もう、十分に苦しんできた。これからは前だけを見て、満足するまで走る世界を楽しむ番だ――。
(【前回を読む】箱根駅伝大ブレーキから3年「さすがに精神的に辛かった」 元駒大エース・工藤有生が振り返る“泣き崩れたあの日”へ)
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