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13年前、24歳の長谷部誠を育てた鬼軍曹マガトに聞く「なぜハセベは37歳でもブンデスでプレーできる?」「彼は異例だ」 

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円賀貴子

円賀貴子Takako Maruga

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photograph byAFLO

posted2021/05/06 17:03

13年前、24歳の長谷部誠を育てた鬼軍曹マガトに聞く「なぜハセベは37歳でもブンデスでプレーできる?」「彼は異例だ」<Number Web> photograph by AFLO

13年前、24歳でブンデスデビューした長谷部誠。37歳になった今季もフランクフルトで契約を延長した

「彼は半年後には、通訳がいらなくなるくらいドイツ語が喋れるようになっていた。チーム内で全く問題なくコミュニケーションが取れていた。それでも最初は少しだけ控えめだったし、ちょっとシャイでもあった。もう少し自分の殻を破るようにと、私も少し働きかけたよ。控えめであることは、難しい試合やギリギリの勝負で必要とされることではないからね。でもその点に関しても、マコトはとても早く学んだと思う」

なぜ長谷部は37歳でもブンデスで活躍できている?

――マガト監督はとても要求が高いことで知られていますが、長谷部は、当時の練習のことを思い出すと今でも吐きそうになると言っているとか。

「そうか?(笑) 私が自分の選手たちにある程度のことを要求するというのは確かだ。そして私は、たとえ選手に満足していたとしても、それは必ずしも口にしない(笑)。選手たちにハングリーでいてもらうためだ。彼が大変だったのは私の練習のやり方ではなくて、量だったのではないかな。でもマコトはいつも全力でやっていたよ。コンディション的には何一つ問題がなかった。それが今でも役に立っているんじゃないかな」 

――長谷部は最近、フランクフルトと契約を1年延長しました。今は37歳です。フランクフルトのフレディ・ボビッチ氏(スポーツディレクター)は長谷部のことを、チームに必要不可欠な「絵に描いたようなプロ」と表現しています。彼がこの高いレベルでこれだけ長くプレーできていることには、マガトさんも驚いていますか?  

「それは例外的なことだよ。10年をとっくに超える間、世界で最も良いリーグの一つでプレーして、納得のパフォーマンスを見せているのだから。ヨーロッパにはたくさん良い日本人選手がいるけれど、彼は唯一、チームを導く日本人選手だ。彼の人格と彼のあり方でね。その上、今マコトのやっているポジションは非常にインテンシブだ。37歳でもまだトップレベルのパフォーマンスを見せることができているのは、彼がブンデスリーガで過ごした最初の1年半とも関係しているはずだ」  

――それはどういう意味でしょうか?

「もし彼が、ドイツでのキャリアの最初に、私ではなく別の監督のところへ来ていたら、今もこのレベルでプレーすることが可能だったかはわからないじゃないか(笑)。ハージは当時、ヴォルフスブルクでそのフィットネスの土台を作ることができたんだ。ひょっとすると、私の練習は常に彼が気に入るものではなかったかもしれないけどね」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

ドイツで14季目を闘うフランクフルトの長谷部誠。欧州の第一線で戦い、周囲から認められ続ける男の「真価」はどこにあるのか。Number1026号「長谷部誠は知っている」では、本人のロングインタビュー、Mr.Children桜井和寿とのスペシャル対談、内田篤人と岡崎慎司のぶっちゃけ後輩対談など、あらゆる角度から「長谷部スタイル」とでも呼ぶべきサッカー人生に迫っています。

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