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エフフォーリアのダービーは「不安がないわけではありません。でも…」(鹿戸師) “体質が弱かった”馬が“無敗皐月賞馬”になるまで
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2021/04/21 06:00
エフフォーリアは皐月賞で危なげないレース運びを見せ、無敗のままクラシック第一戦を制した
前夜にかなりの降雨があった馬場では
こうして皐月賞当日を迎えた。前日には夕方から降雨があり、夜にはかなりの量が降った。「経験がない分、あまりひどい馬場になるのは不安」と思っていた鹿戸だが、当日の天候を見て少し胸を撫で下ろした。
「太陽の出る好天候で、風も吹いていたので馬場はだいぶ乾くと思いました」
レース直前の鹿戸はかなりバタバタした。皐月賞の3レース前の隅田川特別にはストームリッパーを使っていた。その後の鹿野山特別はシャドウセッションとマイネルミュトスの2頭出し。更にその後、つまり皐月賞直前の京葉Sにもルッジェーロを走らせていた。
「だからエフフォーリアの装鞍所はスタッフに任せました。GIに人気馬を送り込むという事で、それなりにプレッシャーがあったけど、2つ前のレースでマイネルミュトスが勝ってくれた時に緊張が少し解けました。また、パドックへ行ったり、オーナーに連絡したり、レース後の馬をチェックしたりと慌ただしかったので、アッと言う間に皐月賞のパドックを迎えた感じがしました」
「良い雰囲気のある馬だと感じました」
前走比10キロ減の504キロという馬体重に関しては「前回が余裕残しだったので、多少減っても問題ないし、実際に減っているのは想定内」と考えていた。それよりもエフフォーリア自身の雰囲気に舌を巻いたと言う。
「デビュー以来無観客競馬が続いていたので、お客さんの前に出るのはたぶん初めてだったと思います。でも、ドンと構えて落ち着いていましいた。良い雰囲気のある馬だと感じました」
1番人気を争ったダノンザキッド(最終的にこの馬が1番人気でエフフォーリアは2番人気)が隣枠だったため、すぐ後ろを歩いていた。だから自然と目に入ったが「他を気にしても仕方ない」と自らが出走させる3戦3勝の若駒だけを注視するようにしたと言う。
「武史には『馬は良い具合だから、びしっとやって来て良いよ』と伝えました。乗り慣れているジョッキーなので不安はなかったけど、彼自身、GIでこれだけの人気馬に乗るのは初めてだったから、プレッシャーをかけないように意識的に笑いながら伝えました」