競馬PRESSBACK NUMBER
エフフォーリアのダービーは「不安がないわけではありません。でも…」(鹿戸師) “体質が弱かった”馬が“無敗皐月賞馬”になるまで
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2021/04/21 06:00
エフフォーリアは皐月賞で危なげないレース運びを見せ、無敗のままクラシック第一戦を制した
共同通信杯で一躍クラシック戦線の主役級に
共同通信杯では、サウジアラビアロイヤルC(GIII)を勝ち、朝日杯フューチュリティS(GI)でも2着に好走したステラヴェローチェが1番人気に推される中、4番人気となったエフフォーリアが2着のヴィクティファルスに2馬身半差をつけて優勝した。それも東京の長い直線にもかかわらず早目に抜け出し、危な気ない完勝だった。のちに2着のヴィクティファルス、3着のシャフリヤールも重賞を制覇。先述のステラヴェローチェは5着にいるというレベルの高いレースとなり、エフフォーリアはクラシック戦線で一躍主役級の存在となった。
「しかも、共同通信杯の後はそれほど疲れが出ませんでした。明らかに体質が強化されてきたと感じました」
皐月賞の最終追い切りも「問題ない」
それでも万全を期して詰めて使う事はしなかった。本番の皐月賞(GI)までどこにも使わずに臨む事にしたのだ。
「3月の25日くらいにノーザンファーム天栄から帰厩させました。いつもと同じで元気一杯で戻って来ました。体重的には前走時とほぼ同じ(514キロ)だったので、牧場でも良い感じで乗り込まれてきたと感じました」
その後の調整も順調に進められたと言う。
「1週前追い切りで武史を乗せて、いつもよりは速めに追って負荷をかけてもらいました。馬なりではあるけど、ゴールを過ぎた後もすぐには緩めず、1コーナー過ぎまでしっかりと集中力を切らさないように乗ってもらいました。うちの厩舎としては普段通りのやり方です」
最終追い切りには再び主戦ジョッキーが跨った。
「前の週にしっかり負荷をかけていたし、日曜の坂路も動いていた(54秒0)ので、馬なりで5ハロン70秒前後。時計よりも折り合いをみながら落ち着かせる事に重点を置き、良い調教が出来ました。武史も『問題ない』と言ってくれました」