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混戦予想の皐月賞で“エフフォーリア1強”が実現した理由 ソダシとともに「無敗の二冠獲り」へ視界良好?
posted2021/04/19 11:42
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
牝牡の「無敗の三冠馬」が同一年に現れることなど二度とないと思われたが、ひょっとしたら、歴史は繰り返されるのかもしれない。
クラシック三冠競走の第一弾、第81回皐月賞(4月18日、中山芝2000m、3歳GI)で、横山武史が騎乗する2番人気のエフフォーリア(牡、父エピファネイア、美浦・鹿戸雄一厩舎)が優勝。昨年のコントレイル、一昨年のサートゥルナーリアにつづく、史上19頭目の無敗の皐月賞馬となった。
前週の桜花賞をソダシが無敗で制したばかり。昨年のデアリングタクト、コントレイルにつづき、今年も牝牡ともに無敗馬が、三冠競走の第一戦を制覇した。
「絶対勝てると自分に言い聞かせて勝負に臨みました」
前日からの雨を含んだ馬場が明るい陽を浴びて、刻々と乾いていく。午前中は重だった中山競馬場の芝コースは、稍重のコンディションにまで回復していた。
馬の影が芝にくっきりと映るなか、皐月賞の出走馬16頭がゲートを飛び出した。
タイトルホルダーとワールドリバイバルが好スタートから先頭をうかがう。
1番人気のダノンザキッドはそれらの直後につけて先行する。エフフォーリアも速いスタートを切り、ダノンザキッドの内に併せるようにして1コーナーへと入って行く。
「人気もありましたし、プレッシャーがすごかったんですけど、持てる技術で、この馬の能力を発揮できれば絶対勝てると自分に言い聞かせて勝負に臨みました。思ったほどペースが流れなかったので、いいポジションを取ることができました」
そう話した横山は、馬場の傷んだ内目を走らされることを特に気にしている様子はなかった。無理に外に持ち出そうとはせず、馬のストライドを自然に伸ばしてやりながら、人馬の呼吸を合わせている。
先頭はワールドリバイバル、2番手はタイトルホルダー。直後の内にエフフォーリア、その外にダノンザキッドという態勢で向正面に入った。
エフフォーリアは、横山がときおり重心を後ろにかけて手綱を引かなければならないほどの手応えだ。