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エフフォーリアのダービーは「不安がないわけではありません。でも…」(鹿戸師) “体質が弱かった”馬が“無敗皐月賞馬”になるまで

posted2021/04/21 06:00

 
エフフォーリアのダービーは「不安がないわけではありません。でも…」(鹿戸師) “体質が弱かった”馬が“無敗皐月賞馬”になるまで<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

エフフォーリアは皐月賞で危なげないレース運びを見せ、無敗のままクラシック第一戦を制した

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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Satoshi Hiramatsu

「最初に入厩した当初は体質が弱くて、調教を積むと腹痛になる事がありました」

 1962年生まれで現在58歳の調教師、鹿戸雄一は、エフフォーリアについてそう口にすると、更に続けた。

「もっとも、大事に至るほどの腹痛ではなかったので、2歳の夏にはデビュー出来ました。その時期の新馬に使えたのだからむしろ丈夫な方だったかもしれません」

 デビュー前の調教から動いていたので期待を持って札幌競馬場での新馬戦に送り込んだ。鞍上には若手の横山武史を指名した。自厩舎には三浦皇成が所属していたが、彼は新潟で騎乗していたため、札幌にいた横山に依頼したのだ。ご存知のように彼の父親は同じジョッキーの横山典弘。鹿戸がジョッキー時代には一緒に良く飲んだ仲だった。しかし、鹿戸は言う。

「武史に依頼したのは決してお父さんと懇意にしていたからではありません。勿論、最初はそれも関係していたかもしれないけど、武史自身が良いジョッキーになってきていたのでお願いしました」

新馬戦は勝つには勝ったけれど…

 こうして2020年8月23日、札幌競馬場の芝2000メートルでデビューした。7頭立てで単勝1.4倍の圧倒的1番人気。鹿戸厩舎の管理馬の多くが装着している小さめのシャドーロールを着けてターフに現れると、早目先頭からエスコバルの追撃を4分の3馬身抑えて勝利した。結果的にこのデビュー勝ちが色々な意味でエフフォーリアのその後に影響を与える事になる。

「勝つには勝ったのですが、レース後にはガクンと疲れが出ました。能力はあるけど、当時はまだまだ弱い面がありました」

 そこで今後はレース間隔を空けながら、体質の強化を促しつつ使おうという事になった。そのため、2戦目は11月に入ってから。東京競馬場の芝2000メートルで行われる百日草特別に出走すると2着のレインフロムヘヴンに1と4分の1馬身の差をつけて快勝した。

「新馬戦での疲れはすっかり癒えていたので使ったところ、初戦に輪をかけて強い勝ち方をしてくれました。新馬戦を勝ててゆっくり使えた事でだいぶ丈夫になってきた感じでした」

 これで2戦2勝となったため、更に余裕を持って使える事になった。そこで3戦目は年が明けるのを待ち、2月の東京競馬場で行われる共同通信杯(GIII)をターゲットにした。

【次ページ】 共同通信杯で一躍クラシック戦線の主役級に

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