オリンピックへの道BACK NUMBER
「憧れの存在」高橋大輔のアイスダンス転向に「絶対負けちゃだめだ」 小松原美里・尊組が見せた“第一人者”の意地
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2021/04/18 11:02
2年前の世界選手権では踊ることのできなかったフリーダンス『ある愛の詩』を演じきった小松原美里・尊組
それでもひるまず、リズムダンスで18位となりフリーダンスへ進出。
五輪の出場枠が与えられるのはフリーダンスを含め最終順位19位まで。その19位に入り、枠を確保したのである。
北京五輪への原動力
実力が拮抗し、「眠れなかった」ほどの重圧を感じながら獲得できたのには、枠を取るという目標とともに、やはり2年前の世界選手権の悔しさを晴らしたい思いがあったから。フリーダンスのプログラムは2年前と同じ『ある愛の詩』。初めての世界選手権でお披露目できずに終わったプログラムだ。リズムダンスを乗り切り、力を込めたプログラムを見せたい。そんな思いもまた、二人の原動力となった。
目標としてきた北京五輪も、よりくっきり目に映るようになってきた。来シーズンはオリンピックイヤー。でも気負いはない。国内の大会も国際大会も美里は「やることは同じと思います」と語る。
日本でアイスダンスに取り組んできた美里は練習場所、パートナーの数などさまざまな点で環境が整わない苦労もあっただろう。尊もまた韓国やノルウェーでパートナーを探し、さまざまな国で競技に打ち込んできた経緯がある。
その先に出会った2人は、それぞれの歩みをどう演技に表していくのか。
憧れであった高橋の存在も刺激としつつ、アイスダンスへの愛着も胸に、オリンピックシーズンを進んでいく。