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“嘘ばかりのメディア”に仏頂面の指揮官フォンセカが激怒! 「ローマを応援すべきだ」と口撃するワケ
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/04/14 17:01
ローマはELの舞台で健在ぶりを示すことはできるか
今季ここまでのセリエA上位6チームとの対戦成績は9戦して3分6敗。国内のビッグクラブ相手にまったく勝てないのだ。
試合の前半で受け身に回って、後半慌てて巻き返しを図るが時すでに遅し、というのがパターンで、2月末の第24節でミランに敗れると遂にCL圏内から陥落……。今度こそ1勝をと意気込んだ3月21日の第28節ナポリ戦に0-2で敗れた後は、さすがの指揮官も「強豪と対戦するとき、うちは精神面で壁を作ってしまう。選手たちをやる気にさせられないのは私に責任がある」とうなだれた。
外国人監督をスケープゴートにして叩く
コロナ禍の時勢もあって、オーナー一家がテキサスからローマを訪れることは稀になり、オリンピコにはめったに姿を見せない。
完全によそ者扱いされているアメリカ人会長は今のところ何のメッセージも出さず、釘を刺すこともないから地元メディアはますます図に乗り、わずかな綻びを見つけては何の後ろ盾も持たない外国人監督をスケープゴートにして叩きに叩く。
ユベントス、アタランタ、ラツィオが軒並みCLベスト16ラウンドで姿を消し、ELでもミランが敗退したことでローマはイタリア勢として唯一気を吐く格好だ。
ELベスト16ラウンドで、指揮官はかつて3年指揮を執ったシャフタールを相手に5-1の完勝を収め、指導者としての成長ぶりを古巣に知らしめた。
イタリアサッカーの看板を今背負えるのはローマしか
苦戦必至と見られていたアヤックスとの初戦にも先勝したことで、フォンセカ監督は今こそ物申させてもらうとばかりに思いをぶちまけたのだろう。
「今、イタリア・サッカーの看板を背負えるのはローマしかいないのだ。ELの準決勝進出がかかっている大事な時期だというのに、(ファンとの架け橋となるべき)メディアには『選手たちがフォンセカに"くたばれ"と反抗した』などという大ウソが書き連ねてある。そんなことがあってたまるものか。なぜこんなことができるのか本当に理解に苦しむよ。批判なら私は甘んじて受ける」
コメディ俳優バンフィはフォンセカを「仏頂面」と茶化したが、不慣れなイタリア語での真摯な応対を見るにつけ、僕は彼を紳士だと思う。