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“嘘ばかりのメディア”に仏頂面の指揮官フォンセカが激怒! 「ローマを応援すべきだ」と口撃するワケ
posted2021/04/14 17:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
リーノ・バンフィはイタリアのコメディ俳優だ。
代表作は数多いが、カルチョ愛好家にとってバンフィといえば国民的カルトムービー『L'Allenatore nel Pallone』(1984年/邦題『トレーナー・オン・ザ・ビーチ』)で演じた主役の中年監督、オロンツォ・カナに他ならない。
カナ監督が劇中で明かす秘策戦術は「5-5-5」(!)だ。
実生活ではローマの熱心なファンとして知られるバンフィは"同業者"であるパウロ・フォンセカ監督へ注文をつけずにいられない。
「いつも仏頂面だ。笑顔がないのは、よろしくないねえ」
4月8日、ローマはアヤックスとのEL準々決勝1stレグに臨み、敵地アムステルダムで2-1の逆転勝ちを収めた。
先制点を許し、PKも与える苦しい展開だったが、守護神パウ・ロペスの好守や試合終了間際のDFロジェール・イバニェスの鮮やかなボレー弾によって値千金の先勝を得た。
15日の2ndレグは本拠地オリンピコでの一戦で、勝ち抜けへの状況は俄然有利だ。大会ベスト4進出の先には、グダニスク(ポーランド)でのファイナルも視界に入ってくる。
選手が楯突いてる? 大ウソだよ!
指揮官もさぞご満悦と思いきや、アムステルダムでの試合後会見に現れたフォンセカは、強い口調で怒りを訴えた。
「このカードは我々のシーズンにあって本当に重要なんだ。怪我人が多い中で選手たちは本当によくやってくれている。腹が立つのは、メディアのでっち上げ記事だ。選手たちが私に楯突いているだって? 大ウソだよ!」
たどたどしいイタリア語が、かえってポルトガル出身の指揮官の苛立ちと訴えの切実さを伝えていた。確かに、今季ロッカールームの不協和音やフォンセカの去就を煽る報道は絶えたことがない。
アヤックス戦前には「トリゴリア練習場は一触即発状態。フォンセカとチームの関係は冷え切っている」(『ガゼッタ・デッロ・スポルト』)とまで書かれた。
大手全国紙でもこうなのだから、より扇情的な地元ローマのWebメディアやラジオ局の煽って煽って煽りまくる論調は、推して知るべしだ。
笑ってなどいられるか! 遂に堪忍袋の緒は切れた。