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全米&全豪制覇の大坂なおみが「なぜ世界2位止まり」? 不在だったライバル復帰で「真の女王争い」へ
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2021/04/08 11:01
全米&全豪を制した大坂なおみと、世界1位でマイアミOP連覇を果たしたアシュリー・バーティ(右)
クレーシーズンに向けての修正が課題となったが、その初戦は4月29日開幕のマドリード。第一戦に予定していたシュツットガルトの大会は欠場する。
真の女王を決めるレースは「ここから」
「自分のことを、毎週毎週試合に出て結果を出せるタイプだと思ったことはない。ホームシックにかかりやすくて、すぐに寂しくなってしまうから。遠征は場所を絞って、その大会に集中するというやり方が自分には合っていると思う。これまでの経験でそれを学んだ」
マイアミのプレトーナメント会見でのこの発言は、シュツットガルトの欠場を決めた理由と無関係ではないだろう。ヨーロッパのクレーシーズンでは、通常なら長期間の遠征が強いられる。ベスト4だった2019年の185ポイントを失うが、ナンバーワン返り咲きへの階段を急いではいない。
「ナンバーワンになることがどれほど名誉なことか、どれほど大事なことかはわかっている。でも、可能性のことをあれこれ考え続けると、私はうまくいかない」
失敗を経験して知った〈マイペース〉。5月23日に開幕予定の全仏オープンの大幅延期案が今年も浮上する中、どの選手にとっても調整の難しい状況は続いている。誰よりもうまくこの状況に順応し、むしろプラスにしてきた大坂が、苦手のクレーでもその適応力を発揮することができるだろうか。真の女王を決めるレースは、ここからが長い見せ場となりそうだ。