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全米&全豪制覇の大坂なおみが「なぜ世界2位止まり」? 不在だったライバル復帰で「真の女王争い」へ
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2021/04/08 11:01
全米&全豪を制した大坂なおみと、世界1位でマイアミOP連覇を果たしたアシュリー・バーティ(右)
「ランキングについて議論があることは知っている。ただ、私は去年ポイントを失わなかったけど、獲得したポイントもない。その間にポイントを増やすことができた選手たちもいたのだから、(それでもランキングが変わらなかったということは)私がナンバーワンの場所にふさわしいのだと思ってきた。私たちチームにとってそれほど2019年はすばらしいシーズンだったし、今年再スタートしてからもいいかたちでここまできている」
バーティは少なくともあと5週は女王の座にとどまり、1位在位期間はカロライン・ウォズニアッキの71週を抜いて74週となる。歴代女王の中では9番目の記録であり、これにもまた納得がいかないという声はあるが、後世に残る記録にはパンデミックによる暫定システム下のものだと明記すればよい。それよりも、バーティのこの優勝とプライドを見せた発言のおかげで、これからの女王争いはますますおもしろくなったことに注目したい。大坂一強といってもよかったツアー再開からの半年間だが、同じ土俵にバーティがいなかったこと、直接対決がなかったことは幾分物足りなかった。
WTAは批判の多いランキング・システムにも修正を加え、今保有しているポイントが失効するタイミングについては、コロナ禍で乱れたツアーカレンダーの下でケース・バイ・ケースのルールを定めた。それによると、2019年に獲得したポイントは、その大会が昨年行われず今年も開催されない場合を除き、獲得から104週後に失効する。つまりバーティは、2019年の全仏オープンで獲得した2000ポイントを5月に失う。ようやく緊張感のあるポイントの増減、トップ争いの変動がこれから見られそうだ。
そこで少し気がかりなのが、マイアミでの大坂の様子である。
世界ランク25位にストレートで完敗
昨年8月のツアー再開以来、無敗を誇っていた大坂の連勝は、23でついにストップ。この10年でセリーナ・ウィリアムズの27連勝(2014-2015年)、アザレンカの26連勝に次いで3番目の記録に終わったこと以上に残念だったのが、そのプレー内容だ。
世界ランク25位のマリア・サッカリに0-6、4-6で完敗。第2セットは4-1から5ゲームを連取された。「今週はずっとリズムをつかめなかった」と明かし、ハードコートの中ではかなり遅いと言われるサーフェスにタイミングが合わずにミスを連発。試合を通してファーストサーブの確率がわずか40%で、そこからのポイント獲得率も50%という絶不調に、「突然にああなってしまった。どうしてなのかはよくわからない」と落胆した。