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アズーリ3連勝でEUROに弾み<優勝ダークホースに> W杯予選敗退で「世界の破滅」から4年、まだ傷は残るが…
posted2021/04/06 11:02
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「Vincere aiuta a vincere.」
カルチョの国には「勝利は勝利を呼ぶ」という格言がある。
3月25日に始まったカタールW杯欧州予選で、イタリア代表が3連勝で好発進した。
ロベルト・マンチーニ監督は2018年9月から続く連続無敗記録を「25」に伸ばし、名将マルチェロ・リッピの持つ歴代2位の記録に肩を並べた。
イタリアは、6月に開幕を控えるEURO2020(大会は1年延期で開催)の予選でも、FIFA世界ランク1位のベルギーと並んで予選10戦全勝を達成しており、成績だけを見れば勇ましい数字が並ぶ。
だが、上々の滑り出しにもかかわらず、イタリア代表の指揮官にも選手たちにも笑顔はない。むしろ、彼らのプレーや言葉からは悲壮感を伴った決意の方が伝わってくる。
キエッリーニ「絶対に、絶対に失敗できない」
代表キャップ106を数えるベテランDFジョルジョ・キエッリーニ(ユベントス)は初戦前夜に語った。
「今度の予選では絶対に、絶対に失敗できない」
イタリア代表は、前回大会では予選プレーオフに敗れ、本戦出場を逃している。当時のFIGC(伊サッカー連盟)カルロ・タベッキオ会長が「世界の破滅だ」と嘆き、60年ぶりの屈辱にまみれた2017年11月13日。
あの日から、アズーリの時計は止まったままだ。
もちろん、3年半の間にイタリア代表が何もしなかったわけではない。彼らは地に足を着けて、捲土重来の道を探ってきた。
2018年5月に新代表監督としてマンチーニを迎え、同年秋にはFIGCのトップも入れ替わった。
UEFAネイションズ・リーグ第1回大会(2018-19年)はグループリーグ止まりだったが、指揮官の攻撃志向がチームに根付いた2020-21年シーズンの第2回大会では、スペイン、フランス、ベルギーらと上位4カ国によるファイナルズ進出を決めている。