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アズーリ3連勝でEUROに弾み<優勝ダークホースに> W杯予選敗退で「世界の破滅」から4年、まだ傷は残るが…  

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2021/04/06 11:02

アズーリ3連勝でEUROに弾み<優勝ダークホースに> W杯予選敗退で「世界の破滅」から4年、まだ傷は残るが…  <Number Web> photograph by Getty Images

悪夢のW杯予選敗退から4年。アズーリは再生の一歩をしるした

W杯出場を逃した傷は埋まらない

 マンチーニ就任当時、歴代最低の20位にあったFIFAランクも、次回更新で7位浮上が濃厚というところまで失地回復してきた。

 しかし、4年前にW杯出場を逃した傷はふさがらない。

 どれだけゴールをあげても、どれだけクリーンシートを重ねても、再びW杯への切符を手にするまでアズーリ色の時計の針が動き出すことはない。また、世界を4度制した国の男たちは心の底から笑うことはできない。

 今予選で彼らが背負うプレッシャーは想像に余りある。

「一刻も早くカタール行きを決めたい」

 初戦の北アイルランド戦を終えた後、代表通算100試合出場を果たしたDFレオナルド・ボヌッチ(ユベントス)が漏らした。選手たち全員の偽らざる本音だろう。

 4年前のプレーオフで涙を呑んだ23人のうち、今3連戦にはボヌッチ、キエッリーニのベテラン勢を始め、守護神ジャンルイジ・ドンナルンマ(ミラン)、DFアレッサンドロ・フロレンツィ(パリSG)、さらにはFWチロ・インモービレ(ラツィオ)、FWアンドレア・ベロッティ(トリノ)の2大エースら9人が招集された。

デロッシもコーチングスタッフに

 あの日、スウェーデンに敗れた夜、ベンチから激を飛ばし続けたダニエレ・デロッシは指導者のキャリアを歩み始め、今予選からマンチーニ体制のコーチング・スタッフの一員となっている。

 悲劇をともにした戦友DFダビデ・アストーリは4カ月後に夭逝してしまったが、残った彼らにとってカタールW杯予選はサッカー人生を懸けたリベンジだ。

「このチームには、あの敗退を経験した者が何人もいるし、あの場にいなくとも誰もが"あれ(=ロシアW杯予選敗退)"を目撃した。我々は大きな痛みを味わった。だから、今予選に臨むにあたりイタリアの集中力が途切れたり、準備を怠ったりということはないと思っていただきたい」(キエッリーニ)

 コロナ禍の影響もあり、指揮官が「最も難しい」と口にしていたパルマでの初陣は、北アイルランドを2-0で退けた。

【次ページ】 インモービレが代表1年4カ月ぶりのゴール

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