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シメオネの盟友から受けた酷評… 失速気味のアトレティコが今こそ問われる“1試合ずつ”という精神 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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posted2021/04/04 17:00

シメオネの盟友から受けた酷評… 失速気味のアトレティコが今こそ問われる“1試合ずつ”という精神<Number Web> photograph by Getty Images

前半戦は年間勝点100ペースという圧倒的な強さを誇った一方、ここに来て2強に差を詰められているアトレティコ。7年ぶりのリーガ制覇に向けて、まずは精神的な強さを取り戻したい

望外だった首位独走

 スペインのあるアナリストが説くのは心理的な要因だ。

 開幕前、リーガ制覇はアトレティコにとって現実的な目標ではなかった。代表合宿中にテレビ局の取材に応えたコケは「クラブに求められたのは3位」だったことを明かした。

 ところが、バルセロナやR・マドリーの予想外の不調により優勝への道が開けると、失うものが何もないアトレティコはフル回転で戦い始め、幸運にも恵まれて(相手が決定的な場面でミスを犯すなど)、神がかり的な勢いを示すようになった。

 リオネル・メッシのように独りで得点できる選手、独りで試合の流れを変えられる選手を持たないアトレティコが前半戦の長きに渡り勝ち続けることができたのは、個人の失敗をチームでカバーしていたからで、それを可能にしていたのは意志に支えられた集中力だった。

 ところが先述の失速により、気持ちも沈み込んだ。

 アトレティコは自信と希望を取り戻して、以前の波をもう一度掴みたい。

“追われる立場”にかかる重圧

 とはいえ、独走状態は終わり、「今季は無理」と思われたバルサが前半戦の自分たち同様の勢いで背後(第28節終了時点で勝ち点差4)に迫っている――。

 追われる立場のプレッシャーに加え、アトレティコが不慣れなのは「優勝」だ。

 前半戦の強さを失ったとはいえ、バルサに4差、R・マドリーに6差をつけての首位である。残り9試合で8勝すれば自力でのタイトル獲得となる。

 この状況は選手にどのような影響を及ぼすのか。

【次ページ】 「ボールを蹴ることだけに集中できるか」

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ディエゴ・シメオネ
アトレティコ・マドリー

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