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シメオネの盟友から受けた酷評… 失速気味のアトレティコが今こそ問われる“1試合ずつ”という精神
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/04/04 17:00
前半戦は年間勝点100ペースという圧倒的な強さを誇った一方、ここに来て2強に差を詰められているアトレティコ。7年ぶりのリーガ制覇に向けて、まずは精神的な強さを取り戻したい
「ボールを蹴ることだけに集中できるか」
2015年1月に放送されたテレビ番組で、家族や友人と食卓を囲んだシメオネがリーガを制し、CLでは準優勝した2013-14シーズンの最終局面について語っていた。彼の言葉の一部を書き出そう。
「優勝が決まる2試合前のレバンテ戦のあと、選手の1人にこう言われた。『監督、最初の20分間足が動かなかったんだ』。ロンドンでチェルシーを破った俺たちなのにだ!
中3日空いていたから疲れは理由にならない。優勝に慣れていない選手――当時のウチで経験のある選手はダビド・ビジャだけだった――は足が重くなり、思うようにプレーできなくなる。CLのファイナリストになり、リーガ優勝は自分たち次第となると(プレッシャー、ストレス、不安で)頭がいっぱいになる。そうしたことから自分を切り離し、ボールを蹴ることだけに集中できるかどうかですべてが決まる」
7年ぶりのリーガ制覇に向けたカギは…
アラベス戦前の記者会見において、シメオネは復調を目指す選手たちの全面的な努力を称える一方で、自身の責任を強調していた。
「いま、しっかりしなければならないのは私だ。ここから先は私が責めを負う。チームのパフォーマンスを上げるために成長しなければならないのは、たぶん私だろう」
対戦相手に合わせた戦術を工夫し、選手の起用法に頭を捻り、全員の体調を管理する。そして、目の前の試合だけに集中させる。
特別なことはひとつもないけれど、どれも容易ではない。そのあたりをシメオネがやり遂げることができれば、アトレティコは7年ぶりにリーガ王座に就くだろう。
カギとなるのは、シメオネの座右の銘「1試合ずつ」である。