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「ごっつあんゴールでもいい」FC東京・田川亨介22歳が“ストライカーのメンタル”に到達したワケ【U-24代表】
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/03/26 06:00
U-24日本代表メンバーにも選出されたFC東京の田川。スピードとセットプレーでの強さを兼ね備えたストライカーだ
試合直前に行なう“儀式”とは?
それは「やり続けること」。
裏への抜け出しも、守備も、約束事も。求められることは常にやる。
ボールを奪われたら全力で取り返しにいき、守備においても味方のカバーにも回る。当たり前のことを当たり前にやる。そのうえで裏を狙い続ける。ボールを預けて前に出ていく。やるべきことを繰り返してやる。
「やり続けているから、最後にこぼれてくるのかな、最後に報われるのかなって感じるんです。だからこそ、そこは意識しています」
キャンプからゴールにこだわって、結果を出してきた。コーチングスタッフから「ブレイクする一番手は田川」と言われるまで期待が高まってきた。
やり続けることができなかったら、試合には出られない。常にその危機感を背負うことによって、才が研ぎ澄まされてきている。
試合直前に行なう“儀式”がある。
やるぞ!やるぞ!やるぞ!やるぞ!やるぞ!
心のなかで、繰り返して絶叫する。成し遂げるという強い意志を体内にこだまさせてから、ピッチに足を踏み入れるようにしている。
「ごっつあんゴールでもなんだっていい」
成し遂げたいこと。
それはズバリ、ストライカーとして認められたいということ。
「ごっつあんゴールでもなんだっていい。点を獲れればいいっていうメンタルでやっています。そのためにはゴール前にどれだけいて、どれだけ準備ができているか。それが大事になってくると思うんです。今年はどんどん得点を量産して、ストライカーとして認められたい」
やるぞ!の先には東京オリンピック、FC東京の念願のリーグ初優勝がある。
ノッている。
U-24アルゼンチン代表との親善試合に臨むU-24日本代表メンバーに選出され、3月21日のホーム、ベガルタ仙台戦でもゴールを挙げている。こぼれ球への反応ではなく、ワンツーから出ていって左足で強烈なミドルシュートを突き刺している。
真のストライカーになると決めた、揺るがない決意。
「たびたび」から「どんどん」へ――。
ゴールすればするほど、田川亨介の欲求は高まっていく。