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「ごっつあんゴールでもいい」FC東京・田川亨介22歳が“ストライカーのメンタル”に到達したワケ【U-24代表】
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/03/26 06:00
U-24日本代表メンバーにも選出されたFC東京の田川。スピードとセットプレーでの強さを兼ね備えたストライカーだ
「そのままの勢いでいっちゃえ、と」
後半9分、森重がボールを持つや否や手を挙げてパスを要求しながら抜け出そうとする。パスは相手に渡ってしまったが、スピードを落とすことなく相手にも、そして相手がバックパスした方向にもド迫力のチェイシング。慌てたGKのトラップミスをこれまた見逃さず、捨て身のスライディングでボールを押し込んだ。
「バックパスした瞬間にパスが弱かったので、そのままの勢いでいっちゃえ、と。それでうまく相手のミスを誘えたのかなとは思いました。森重選手からはいいボールが出てくるし、抜け出すことでもっと自分を見てくれるようになりますから。
セレッソ戦も、ルヴァンのヴォルティス戦も(得点は)相手のミスによるもの。ゴール前に入っていくことが大事で(ヴォルティス戦のゴールも)相手の体勢を見たら、この辺にこぼれてくるだろうなって瞬間的に思ったので、シュートの準備もできていました」
味方からのパスを大事にする。
ゴールにつなげられれば、それが信頼となってまたボールが出てくるというわけである。
湘南戦までの公式戦3発はいずれも泥臭い。これまでの田川のイメージには薄かった部分なのかもしれない。
「ケガのせいにはしたくないんです」
2017年のU-20ワールドカップには18歳で選ばれた大器。恵まれた体格、フィジカルと強烈な左足シュートに、期待値は高まるばかりだった。
それでも4ゴールを挙げたサガン鳥栖のルーキーイヤーをなかなか超えられない。2019年にFC東京に移籍してきたが、ケガにも泣かされてレギュラーの座を確立するまでには至っていない。
「でもケガのせいにはしたくないんです。自分の実力、自分の準備が足りていないということでもあるので。ケガでチームを離れても、試合に出ている人のプレーを見て学んで、ケガした箇所へのアプローチを考える時間にしました。
FC東京の外国籍選手はみんな能力が高いし、揉まれることが多い。そのことによって反骨心が強くなってきたなとは感じます。もちろん以前からありましたけれど、危機感もあって、やってやろうってなっています」
自分の強みは、何か。