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「ごっつあんゴールでもいい」FC東京・田川亨介22歳が“ストライカーのメンタル”に到達したワケ【U-24代表】
posted2021/03/26 06:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
J.LEAGUE
たまたまゴール前にいたから、たまたまボールが転がってきたのか。
否である。
たびたびゴール前にいるから、たびたびボールが転がってくる。でもそれだけでは押し込めない。準備なくして、気構えなくして「たまたまのゴール」は「たびたびのゴール」になっていかない。
22歳、FC東京の田川亨介を眺めていると、そう強く感じることができる。
3月17日、味の素スタジアム。
湘南ベルマーレに先制されて迎えた前半37分だった。
アンカーに入った森重真人のパスカットからボールを受け取った田川は相手と競り合いながら中央のディエゴ・オリヴェイラにボールを預け、ゴール前に入っていく。オリヴェイラからパスを受けた渡邊凌磨のシュートはGKに弾かれたものの、しっかりと詰めていた田川がねじ込んだ。
「“嗅覚”みたいなところは段々と良くなっている」
田川は言う。
「ディエゴに預けたら何かしらボールは出てくるだろうっていう思いで、ずっとプレーしています。あとはゴール前にいること、こぼれ(球)が来たら反応すること。“嗅覚”みたいなところは段々と良くなっているなって感じます」
田川のポジションは3トップの右。前半13分にもオリヴェイラに渡して中に入ろうとしている。空中戦も強いが、スピードがあるだけに地上戦にも強い。徹底した「預けて中に」の意識がゴールに結びついた。
あらためて気づかされたことがある。