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「12試合ホームランなし」最長記録を破った東海大菅生・新2年生は昨秋までメンバー外<インコと話せる背番号17>【センバツ】
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKYODO
posted2021/03/24 15:30
「12試合ホームランなし」の記録破る。2回裏東海大菅生無死、鈴木悠平が左越えに今大会第1号となる先制本塁打を放つ
「オープン戦から非常に調子がよくて、ホームランも出ていた。ただ、秋はメンバーにも入っていなかったので、どんだけできるのかなと。パンチ力はあるので、当たれば、ああいうことになるのかなとは思っていた。なので、当てにいくことのないよう、振れとだけ言っていました。この舞台で、いきなり打てるんだから、たいしたもんですね」
高校通算3本目のホームランだが、中学時代は、前田健太(ツインズ)をOBに持つ大阪の名門、忠岡ボーイズで32本ものホームランを打ったスラッガーだ。3年夏の全国大会では、なかなかホームランが出ないことで知られる広い舞洲球場のスタンドに放り込んだこともある。
秋の東京大会で優勝し、選抜大会出場を確実なものとした後は「チャンスだ」と自分に言い聞かせ、人一倍、努力をしてきたという。スイングは毎日、500本以上。スクワットなどで下半身を徹底的に鍛え上げてきた。
ペットのインコとのおしゃべりが好きで、「野球の悩みごとを語りかけていました」と照れ臭そうに笑う。
冬場、甲子園でホームランを打つ姿をイメージしながらスイングした。だが、少し想像していた打球とは違った。
「あの……、今日のホームランは、切れるか切れないかという打球だったので、次は、打った瞬間、安心してベースランニングできるように、もうちょっと、フェアゾーン(の方に)に打てるようにしたいです」
全力で振る――。インコと話せる背番号「17」が、ホームランの極意を久々に思い出させてくれた。