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被安打6なのに8失点で「甲子園11連勝ストップ」…大阪桐蔭154キロ右腕、“4暴投”には伏線があった【センバツ】
posted2021/03/23 18:55
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
KYODO
6回裏、再び球場がざわついた。
大阪桐蔭の2番手投手、154キロ右腕の関戸康介のボールは投げる前に手の中から抜けてしまったかのように大きな弧を描き、キャッチャーの遥か上をいった。3球前にも、ちょうど同じようなボールを投げたばかりだった。関戸はそのシーンを振り返る。
「ランナーが三塁にいたので、低めに引っかけないように意識してしまって、浮いてしまった」
目の前を智弁学園の選手が悠々と駆け抜けていった。
2−7。
6回表に味方打線が奮起し、2−4と追い上げたものの、関戸が直後に3失点。またしても引き離されてしまった。
暴投には伏線があった
この暴投には伏線があった。
5回裏からマウンドに登った関戸は、先頭打者を低めのボールで空振り三振に仕留める。しかし、ワンバウンドしたため捕手が捕り切れず、振り逃げで走者を許してしまった。
「三振を取ったんですど、キャッチャーが捕りにくい球を投げてしまった。もっと、いい球を投げられたんじゃないかな、と」
ボール球で空振りを奪えるのはストロングポイントのはずだ。ところが、もともとコントロールに自信のない関戸は、それをウィークポイントと捉えてしまった。
「キャッチャーが捕りやすいボールを投げようと、(変に)合わせてしまった。対バッターに集中できていなかった」
いつも荒れ気味だが、この日は1回と3分の1で4暴投。さすがに「珍しい」と声を落とした。
被安打6なのに8失点
この日の大阪桐蔭のプレーは関戸だけでなく、何かと「荒れ模様」だった。
先発した大型左腕の松浦慶斗は立ち上がり、3つの四死球を出すなど、いきなり4失点。松浦はこう悔やんだ。