井原　いや、いや（笑）。そうですねえ……世界での実績も含め、最も力があるのは麻也じゃないですか。でも、（田中マルクス）闘莉王と中澤佑二も凄かったと思います。身体のサイズはもちろん、ヘディングの強さ、攻撃力もありましたから。冨安には早くこの3人に追いつき、追い越してもらいたいですね。

――井原さん自身、現役時代はセットプレーやロングシュートで点を奪っていましたが、DFにとって攻撃力も欠かせない要素ですか？

井原　今の時代、DFは攻撃のビルドアップを求められますし、ヘディングに関しては、まだまだ改善の余地があると思います。特に攻撃のヘディングは、闘莉王も中澤も麻也も、自分の形というか、空間を持っている。そこは冨安にとって伸びしろだと思いますね。

――たしかに吉田選手、中澤さん、闘莉王さん、井原さん、秋田豊さんといった歴代のセンターバックと比べ、冨安選手はコーナーキックからのヘディングゴールが少ないですね。

2015～18年、アビスパ福岡の監督を務めた井原　©BUNGEISHUNJU

井原　ただ、冨安にはサイドバックもできるという強みがある。闘莉王も攻撃にはよく参加していましたけど、冨安の場合はサイドバックとして前線まで駆け上がれるし、スピードと持久力は半端じゃない。アビスパ時代も一番速いくらいだったので。それだけの走力は他のセンターバックは持ち得ていないので、大きな魅力だと思いますよ。歴代で一番走れるセンターバックなんじゃないかな（笑）。

東京五輪世代で注目のセンターバックは？

――A代表では吉田選手とコンビを組んでいますが、オリンピック代表では冨安選手は誰と最終ラインを組むのがいいでしょうか？　冨安選手のほかに注目している若いセンターバックはいますか？

井原　板倉（滉）とか、（中山）雄太とか、渡辺剛になるんじゃないかと思いますけど、うち（柏レイソル）の古賀太陽、大南（拓磨）、（上島）拓巳もすごくいいですよ。太陽と大南はこれまでも東京オリンピック代表に呼ばれていますけど（※古賀は今回のアルゼンチン戦のメンバーにも選出）、拓巳は昨年、アビスパでシーズンを通して活躍して、今季レイソルに復帰した選手。3人にはぜひ代表に絡んでほしい。昨年の拓巳がそうだったように、センターバックは試合経験を積むと一気に伸びるし、東京オリンピック代表のセンターバックは最後まで全員にチャンスがあると思います。

都並さんは「もり・やすかず」だと思っていた

――森保監督についても聞かせてください。井原さんが森保監督のことを知ったのは、オフトジャパンの最初の合宿ですか？

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