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「まさかプロ野球選手になるとは…」22歳山本由伸が“オリックスのエース”になるまでの「知られざる少年時代」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph bySankei Shimbun
posted2021/04/28 11:02
高3秋のドラフトで、オリックスに4位で指名された山本由伸
「素直に『これいいな』と思ったので。すぐに効果が出る練習ではないんですけど、話をしたりするうちに、自分の中の野球の悩みを解決してくれそうだなと、これをやったらうまくなれそうだなと思いました」
山本はよく、「力を抜いた中で力を出す」、「力じゃない力を鍛えている」という表現をする。今年1月の自主トレ公開の際も、「力を入れずに、すごく速い球を投げられるフォームを探している」と話していた。
178cm80kgで、豪速球を投げられる理由
一般的に行われている筋肉を鍛えるトレーニングと違い、矢田のトレーニングは、身体の深部に働きかける、力任せでは絶対にできないトレーニングだという。例えば、力を発揮する時に、1つの筋肉に100の力を入れるのではなく、全身の600の筋肉に1ずつ力を入れて、全身を連動させ爆発的な力を発動させるイメージだ。
だからこそ山本は、178cm80kgという、プロ野球選手としては決して大きくない体で、豪速球を投げ続けることができる。
新たなトレーニングを始めてまだ間もなかったプロ1年目は、一軍で勝利を挙げたものの、5イニングが限界だった。登板翌日はキャッチボールもできないほどの張りと痛みが生じ、「やっぱり身体の使い方が間違っているんだな」と思い知らされた。
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