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ついに憧れの“マーチマッドネス”の舞台へ 日本女子バスケの至宝・今野紀花が強豪ルイビル大で飛躍 

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青木崇

青木崇Takashi Aoki

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photograph byUniversity of Louisville Athletics

posted2021/03/18 11:02

ついに憧れの“マーチマッドネス”の舞台へ 日本女子バスケの至宝・今野紀花が強豪ルイビル大で飛躍<Number Web> photograph by University of Louisville Athletics

3月5~7日のACCトーナメントで今野は3試合全てに出場し平均5.3得点。FG成功率77.8%、3P成功率50.0%と高確率でシュートを決めた

 精神的な落ち込みから回復しきれない中で迎えた今年2月4日のボストン・カレッジ戦、今野は21分の出場時間を得て、2本の3Pシュートを含む10点を記録。辛い中でもプレーでタフネスを出せると実感できたことは、自信を取り戻すきっかけになった。

 今季のルイビル大は今野を含めてガード陣の層が非常に厚いチームだ。その後、出場時間が1ケタという試合もあったが、毎回強い気持ちで練習に臨まなければ、激しい競争の中から出場機会を得ることはできない。そのことにイライラする時期もあったが、メンタルの状態が良くなったシーズン中盤以降、“みんなが努力するから自分もうまくなりたい”と思うようになっていく。

「プレータイムがなかった時は悔しかったし、もっとプレーしたいと思ったんですけど、一緒にプレーしている人たちが努力しているのも知っていたし、自分の努力も少し足りないと思ったところもありました。とにかく毎日毎日コーチが認めてくれるまで、とりあえずネガティブなことは考えないようにして、信頼を得てしっかりプレーでアピールして、使ってもらえるように練習するしかない。

 ヘイリー(・バン・リス/1年生のガード)とかは1日2~3時間一人で練習している時もあったし、そういうのを見たらプレータイムをもらえないからとただ見ているだけじゃ、どうやっても上に上がっていけないと思いました。ガード陣の競争はもちろんすごかったけど、自分をもっと向上させてくれるようなすごい選手の中で練習できているという実感があるので、今はすごく楽しいというのが自分の中にあります。

 今は“Stay ready”(準備万全な状態を保つ)というのをすごく意識していて、もしプレータイムがあまりもらえなかった試合でも、『自分が出たらこうしなければいけない』とか、『最後まで集中できたら自分の仕事ができたな』というふうに試合を終えることができます。試合に出られたら必ず“Good minutes”、いい時間をチームに与えることだけを考えてやっているので、去年よりはメンタリティがかなり成長したなと思います」

 出場時間が短くなっていても、ウォルツコーチは今野をローテーション外の選手にするつもりなどまったくなかったという。「君が思っている以上に、私は君のことを信じている」という言葉を何度も使うことで、出場したときにもっとアグレッシブにプレーする必要性を理解させようとしたのである。積極的にシュートを打って、もっと頑張ろうという気持ちが今野に生まれたことは、ACCトーナメントでの活躍につながったと言っていいだろう。

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