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「手錠を掛けられた時は頭が真っ白」宮崎大輔39歳が語る“引退危機”と“今の目標”「東京五輪を諦めたわけではないですが…」
text by
奥村佑史(テレビ東京)Yuji Okumura
photograph byYuki Suenaga
posted2021/03/17 17:03
今年6月には40歳となる宮崎。昨年6月の右肩の手術から、11月に逮捕、そして12月には新型コロナウイルスの感染と、39歳は激動の1年となった
だが思いとは裏腹に、選手としての復帰となれば壁は高い。現在男子はリーグで11チームしかなく、チームで試合登録できる選手の上限も16名と限られた枠だ。当然若い選手たちにとっても、日本リーグは狭き門。だからこそ「忖度」での復帰は宮崎自身も望んでいない。
「僕が今チームに入ることで、誰かが入るはずだった1枠を奪うことになる。力がある若い選手を差し置いて出ていくことはしたくない。だから、ちゃんと実力や経験値を判断してもらいたいと思っています」
「“東京五輪を目指します“と言えるレベルではない」
厳しい道のりであることは十分理解している。夢だった東京五輪も、今は見え方が違っているという。
「今はもう“東京五輪を目指します“と言えるレベルではない。諦めたわけではないけれど、現実的ではない。実業団復帰ですら厳しい目標だと思っています」
一方で、自身が再びコートに立つイメージは出来ている。それは大学に戻った2年間の成長を確信しているから。
「この2年で成長した部分もある。プレーを分析する力や、試合に臨むメンタル術も勉強できた。ハンドボールは勢いだけじゃできないので、技術や経験値を生かしたプレーができると思う。自分のプレーを見て若手が吸収してくれれば」
「走りや瞬発力はさすがですよ」
恩師松井監督もそんな教え子を、自信を持って送り出す。
「肩がイマイチなもどかしさはあると思うけど、走りや瞬発力はさすがですよ。視野も広い。まだまだ実業団でプレーできると思います」
今後は肩を完治させ、実業団のトライアウトを受けながらオファーを待つ。