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「手錠を掛けられた時は頭が真っ白」宮崎大輔39歳が語る“引退危機”と“今の目標”「東京五輪を諦めたわけではないですが…」
text by
奥村佑史(テレビ東京)Yuji Okumura
photograph byYuki Suenaga
posted2021/03/17 17:03
今年6月には40歳となる宮崎。昨年6月の右肩の手術から、11月に逮捕、そして12月には新型コロナウイルスの感染と、39歳は激動の1年となった
9月までにチームが決まらなければ「事実上の引退」
さらにトレーニングを再開するまでは1カ月。現在は、朝起きて10キロのランニング、階段ダッシュや筋トレを行う日課もこなすなど、日常を少しずつ取り戻しているという。
「彼なりに反省して、次に進もうと取り組んでいるように見えますよ」
そう語るのは、日体大で宮崎を指導する松井幸嗣監督。宮崎は2月になって部活動にも参加するようになった。
「他の学生にプレーを教えたり、声を出して練習を盛り上げたりね。39歳できついと思うけど、若い連中と一緒に汗を流して走っていますよ」
再び練習に打ち込む宮崎だが、今後の進路は未定だ。
実業団やプロの選手としてやっていくために、宮崎は日本リーグ復帰を目指している。来季が開幕する9月までにチームが決まらなければ「事実上の引退」となる。しかし、手を挙げるチームは現れてはいない。その要因は逮捕によるイメージダウンのみではない。
昔の仲間を頼って、実業団に自ら電話をかけた
昨年6月、東京五輪に向け「最後の賭け」と右肩の手術を決行。しかしその右肩の状態が今も上がらないのだ。故障前はボールを60m以上投げられていたが「今は20mがいいところ。コートは40mなので、まだまだ試合で使える肩ではない」と回復の遅れに悩んでいる。
さらに、12月には新型コロナに感染。息切れや味覚障害など、その後遺症とも闘い続けている。
「一人になると色々考えてしまって、これから自分はどうなるんだろう、このままコートに立てずに終わるのかなって」
チーム探しを始めたのは、そんな不安な気持ちが続いていた年末。かつて所属したチームや昔の仲間を頼って、実業団に自ら電話をかけた。
「もう一度チャンスをもらえませんか」