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「奇跡のレスター」から5年の“栄光と転落” 得点王バーディー、飲酒運転ドリンクウォーター、岡崎とスペインで再会したのは…
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images/Daisuke Nakashima
posted2021/03/14 11:04
ミラクル・レスターの一員だった岡崎慎司は今リーガの舞台へ。では当時の面々はどうしてる?
岡崎がリーガ2部で“再会”した元同僚の名は……
昨季その岡崎と久々の再会を果たしたのはスペイン2部ラージョ・バジェカーノでプレーするレオナルド・ウジョアだ。あの頃のレスターを見ていた人にとっては、60分ほど全力で走り回った岡崎に代わって出てくる大柄なFWというイメージが強いかもしれない。
17-18シーズン途中でレスターを去り、ブライトンに移籍した188cmのアルゼンチン人ストライカーはその後、メキシコのパチューカで1年プレーし、昨季はじめにラージョに加入していた。
そして2019年12月のウエスカ戦でフル出場したウジョアは、途中出場の岡崎と敵として相まみえたのだ。その試合には2-0で勝利したが、19-20シーズンは昇格PO圏外の7位に終わり、岡崎とは再び舞台を分かつことになった。
今季はここまで10試合しか出場しておらず、34歳という年齢による衰えもみられるが、その聞き馴染みのある名前を再び耳にすることはあるだろうか。
今や上位常連、優勝も“おとぎ話”ではない
この5年間で、選手だけでなくレスターにもいろいろなことがあった。クラウディオ・ラニエリ時代の終焉、度重なる監督交代、主力の移籍、オーナーの死――。
ファンに、選手に、クラブに愛されたビチャイ・スリバッダナブラバ氏が2018年のヘリコプター墜落事故で亡くなってもなお、レスターは強さを保ち続けている。後を継いだ息子のアイヤワット氏は父に倣いクラブへの愛を示し、的確な人事でロジャースを招聘した。
ロジャース政権下のレスターは昨季、4季ぶりに欧州カップ戦出場圏内となる5位でフィニッシュ。特に前半戦、独走するリバプールに迫らんとするその姿は、15-16シーズンを彷彿とさせた。
そして今季、シーズン途中のウィルフレッド・エンディディ、バーディーの離脱もなんのその、昨季同様の快進撃で現在3位につけている。
ここへきてマディソン、バーンズら主力の負傷離脱が再び増加しながらも代役の選手が結果を残しており、あのシーズン以来となる、5年ぶりのCL出場権を手にする勢いだ。
レスターは生まれ変わった。「ミラクル」と呼ばれた優勝を踏み台に、ただ過去の栄光にすがることなく、悲劇も乗り越え、正真正銘の強豪クラブへと生まれ変わった。
今季CL出場権を手にしようと、来季プレミアリーグと欧州の舞台でどんな躍進を遂げようと、今のレスターにはそれに値するだけの強さがある。
“おとぎ話”?いや、もはや奇跡などではない。