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大震災翌日、オシムから届いたメッセージ「私自身、日本という家族の小さな一員」「みなが生きて連帯していけば…」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by Takuya Sugiyama
posted2021/03/11 17:04
いち早くメッセージを届けてくれたイビチャ・オシム元日本代表監督(2011年撮影)
ひとりでは大変でも、仲間が増えれば困難にも立ち向かって行ける。事故や病気もそうだが、地震でもコレクティブにみなが生きて連帯していけば、困難も乗り越えられる。
私はこの地球のすべての人々が、日本とともにあることを願っている。
今回の災害はどこにでも起こりうるが、誰も事前にうまく対処できない類のものであるからだ。数日前に日本で起こったことが、今度は別の場所で起こることもある。だからこそ連帯は必要だし、みながともに生きることで力が生まれる。
そして日本が一日も早く、元の状態に戻ることを私は心から願う。
日本人は「人間の方が自然よりも強いということ」を見せてきた
日本では地震が頻繁に起こっているから、復興はそう難しくないのではないか。日本人がこれまで幾度となく見せてきたのは、自分たちの方が、人間の方が自然よりも強いということだった。
自然に打ちのめされても、日本人は他のどの国の人々よりも早く街を復興させた。最近では神戸や新潟がそのいい例だ。同じことを、今度もまたやって欲しい。できるだけ早く、元の状態に戻すことを。しかし、これだけの犠牲が出たのだから、もうこれ以上犠牲者の数が増えないことを願うばかりだ。
それからサッカーが日本の復興に一役買うことを、私は同時に願ってもいる。スタジアムが人々で一杯になれば、それはすでに回復したことを示しているわけだから。
新しい人生を日本はこれから歩めばいい
人生はこれからも続く。新しい人生を日本はこれから歩めばいい。
サッカーでもそうだろう。試合に負けるのは人生の終わりではない。その後も人生は続く。だからこそサッカーは悪くないといえる。敗北はカタストロフだが、それを受け入れて生きながら明日の試合の準備をする。そして勝つこともできる。
生活を再スタートするためには、仕事も再スタートしなければならないし、地震の前の状態にすべてを戻さなければならない。地震を忘れることはできないが、少なくとも普通に生活することはできる。そして普通の生活が続くことで、人生も続いていく。
くり返すが、こういう困難な状況でこそ連帯が大切だ。何よりも強い連帯感が。心をひとつにして、一日も早く元の状態に戻して欲しい。あなた方には、それができるのだから。
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