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なでしこ籾木結花は、なぜ森喜朗氏の“女性差別発言”を「これ、いい方向に進むんじゃないか」と考えたのか 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byGetty Images

posted2021/03/14 06:01

なでしこ籾木結花は、なぜ森喜朗氏の“女性差別発言”を「これ、いい方向に進むんじゃないか」と考えたのか<Number Web> photograph by Getty Images

なでしこジャパンでも活躍する籾木結花はサッカーを通じて日本を変えたいという思いを抱き続けている

「日本の男女間の問題ってすごく根深い」

 籾木はさらに言葉を続けた。

「アスリートとして果たさなければいけない役割として、苦しんでいる人たちが少しでも自分を認めることができるように発信をしていきたいなと思いますし、そういう人たちと一緒に戦っていきたいという思いもあります」

 多様性のある社会を希求する籾木は、先だっての森喜朗氏の女性を差別する発言をこう捉えた。

「『これ、いい方向に進むんじゃないか』。そう思いました」

 そして続ける。

「アメリカとスウェーデンでの生活を経験して、日本の男女間の問題ってすごく根深いんだなと感じました。世界的に見ても日本ってジェンダーギャップ指数が最下位に近いくらい。こういった状況がふつうだとずっと思っていたところに森さんの発言がありました。どんな感情を持つかは人それぞれですけど、女性陣がおそらく同じ方向に向かって進めると思うんです。いろいろな女性がこの問題に立ち向かっていこうとなるのであれば転機の1つになるし、転機になったと思えるように自分もその中に入っていきたいと思います」

「メディアの発信によって国の文化は作られる」

 変えていくためには、発信することが大切であることを籾木は何度も語ってきた。発信という点で、抜くわけにはいかない存在がある。メディアだ。

「メディアがどういう発信をするかによって国の文化って作られると思っています。例えば新型コロナの状況も、メディアの発信の仕方で国民の意識が醸成されていくと思います。

 男子アスリートのことはかっこいい、女性アスリートはかわいい、そのように発信することで女性にはかっこいいということを求められなくなるんじゃないか。形容詞をどう使うかも文化を作るうえで影響していると思います。例えば女子アスリートの方がメイクをしたというところにフォーカスをあてる記事がありますが、そこは議論される部分ではない。もちろんアスリートの方が話したいのであればいいと思うんですけど。ただメディアには自分だけでは届けることができない人に届けられるというよさもあります。双方理解して、一緒に協力していくことで今後が変わっていくと思います」

【次ページ】 「世界を変えていくのは一人ひとり」

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