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なでしこ籾木結花は、なぜ森喜朗氏の“女性差別発言”を「これ、いい方向に進むんじゃないか」と考えたのか
posted2021/03/14 06:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」で活躍し、日テレ・ベレーザの中心で活躍した籾木結花は現在、アメリカのOLレインでプレーする。
「(アメリカに来て)サッカー的なところで言うとアメリカのスピードに慣れたというのが成長したことだと思っています。
人間的な変化で言うと、何がきても対応できそうだなと思えるようになりました。それまでも代表活動で海外に行くことは何度もあったし移動もたくさんしてきたけれど、目の前の同じ服を着た、同じリュックを背負った人についていけば目的地に着くという移動でした。チケットの取り方もホテルの取り方も正直分からないみたいな状態で。何かハプニングがあったときに自分で対応しないといけないという点で1年間すごい経験をしたなと思います」
サッカーだから発信できるメッセージ
「日本では寂しいと感じるような孤独を味わったことはなかったのですが、アメリカに来て孤独に直面した。そのとき強い人ってどういう人なんだろうと考えて、結局強い人でなくてもいいんだと思えたことも成長かなと感じます」
そう言って笑顔を見せる籾木は「サッカーを通じて日本を変えていきたい」と語る。「多様性」を認め合う姿勢を根付かせようと考えているのだ。
「サッカーというスポーツだから発信できるメッセージというのは、多様性を受け入れようというところかなと感じています。サッカーって、ポジションがありながらいろいろなフォーメーションや監督の方向性に合った動きが求められる。それに、どういった人がここに適しているか考えたり、この人がここにいるからプレーを変えていこうとしたりいろいろ変化していくんです。日本の世の中って今、出る杭は打たれるじゃないですけれど、誰かが何かを発言したときにすぐバッシングが起こります。ニュースもそうですけど、すぐ否定的な発言をする」