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バルサ会長選、現地在住なので投票してきました… クライフイズムの改革者ラポルタは“再び”再建できるのか
posted2021/03/12 11:03
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Taku Kudo
3月7日、バルセロナの会長選が行われ、ジョアン・ラポルタ氏が2度目の当選を果たした。その会長選の投票に赴いた現地在住のライター工藤拓氏にバルセロナの様子、そしてバルサを混乱に陥れ、自身は逮捕されたジュゼップ・マリア・バルトメウ前会長の“史上最低ぶり”について記してもらった(全2回/バルトメウ編はこちら)
雨上がりの日曜の午後。普段なら遅い昼食を終えた人々がシエスタの誘惑に包まれる時間帯ながら、その日のカンプノウは多くの人で賑わっていた。
ユニフォームや青とえんじ色のマフラーを身につけた人はほとんどおらず、試合日特有の高揚感や緊張感も感じられない。それでも人々は、約1年ぶりに開放されたスタジアムでのひと時を穏やかに楽しんでいた。
3月7日、バルサの第42代会長選挙に足を運んだ。
ジュゼップ・マリア・バルトメウ前会長の辞任から4カ月超。これほど長く会長不在の状態が続いたのは、1月24日に予定されていた投票日がパンデミックの影響で延期となったからだ。
現在も移動制限が続く中、選挙管理委員会はカンプノウに加えてリェイダ、トルトサ、タラゴナ、ジローナ、アンドラにも投票会場を設置。史上初めて郵送での投票も可能となり、2万人以上のソシオに利用された。
その結果、11万290人のソシオに投票権があった今回の選挙は投票者数が5万5611人を数え、投票率は50.42%に上った。前者は2010年、後者は2003年の会長選に次ぐ、史上2番目に高い数字である。
その中でジョアン・ラポルタは、全投票の54.28%を占める3万184票を獲得。ライバル候補のビクトル・フォント(1万6679票)、トニ・フレシャ(4769票)に大差をつけ、18年ぶり2度目の当選を果たした。
2003年6月の会長選にて、ラポルタは本命視されていたリュイス・バサットを破り、第38代バルサ会長に就任した。40歳での快挙だった。