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【今年で40歳】新キャプテン阿部勇樹が誓う浦和への恩返しとオシムへ「いいニュースを届けたい」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2021/02/26 11:01
浦和では4年ぶりのキャプテンに就任した阿部勇樹。ロドリゲス監督のもと、新たなレッズを作るための準備はできている
「今こそ本当に変わらなければ」
ただ、今シーズンに関しては、過去にキャプテンを務めたときと同じ気持ちのまま臨んではいけないと肝に銘じている。
「もちろん、過去の経験あってこそですが、一方で過去は過去。また新たな気持ちで臨んでいかなければいけない。先に進んでいくという意味でも」
ここ2シーズン、浦和レッズはリーグ戦で14位(19年)、10位(20年)と不甲斐ない結果に終わっている。
「これまで変われるチャンスがありながらも、実際、なかなか変化できませんでした。覚悟や責任感が足らなかったのかもしれないし、そのほかの理由かもしれない。ただ、今こそ本当に変わらなければいけないし、チームにとって大きな転機になりうる、重要な1年になる。僕はそう位置付けています」
ロドリゲス監督や西大伍、塩田仁史らが新たに加わり、大幅に選手が入れ替わったチームの中で、過去のシーズンで蓄積したものを大切にしながら、選手一人ひとりがキャプテンだという自覚、責任感を持ちながらプレーする。阿部は新しい浦和レッズとして前進していくことが重要だと考えている。
「新しい浦和レッズに名を刻むじゃないですけれども、そういった強い気持ちで臨むことが重要で、それが先に繋がっていくと思う。年齢が上だからとか若いとかは関係なく、“1つのチーム”になるためにみんなで進んでいきたい」
16歳333日でJ1デビュー、オシムとの出会い
阿部自身は今季24シーズン目を迎える。まだ高校生だった1998年にジェフ市原のユースからトップチームに昇格し、当時最年少記録となる16歳333日でJ1デビューを飾った。以来、時代とともに飛躍的にサッカーが変化し、スピードも上がっていくなかで、様々な考えや戦い方に触れながら、その都度、チームの一員として、監督が掲げる理想のサッカーに近づけるよう理解し、チャレンジしてきた。
そんな彼も9月にはフィールド選手としてクラブ初の40歳プレーヤーとなる。これまでJ1歴代4位となる通算577試合に出場した、23年間の輝かしいキャリア。
長くトップレベルでプレーできている要因として、オシム氏との出会いが大きい。
「やっぱりキャプテンに指名してくれたオシムさんの存在は自分の中で一番大きかったと思いますね。本当によく“考えて走れ”って言われてきましたから。考えて走る、考えて決断する、考えてプレーする……結局、何をするにも1度は考えるわけだし、自分で決断する。あの言葉は何年経っても忘れないし、何が自分にとっていいのか、この先も“考えて”ベストな選択をしていきたいなと思っています。オシムさんには、“まだあいつやってるのかな?”と思われるかもしれないですけど(笑)、いいニュースを届けたいですね」