理想の8番でいられなかったという後悔

――孤独を感じた？

「孤独ってわけではなかったですけど、自分の居場所がどんどんと……。ああ、俺じゃなかったんだな、っていう感覚ですね。それは周りが悪いんじゃなくて、期待に応えられなかった自分の問題。求められていることができなかった実力不足と、理想の8番でいられなかったという反省……反省というか、後悔ですよね。そこできっぱりと。じゃあ、次をどうするのかというときに、名古屋が『うちで輝いてくれ』と再び熱心に声を掛けてくれた。それが心にすごく響いて、移籍を決めた感じです」

©Getty Images

――自分を求めてくれる人たちがいるというのは、プロサッカー選手として幸せなことですね。

「ほんまにそうですね。期待してくれているぶん、名古屋のファン・サポーター、グランパスファミリーに返していかないといけない。みんなの期待に応えられるように、開幕から飛ばしていきたいし、期待に応えるための準備は、今のところできている自信があります」

セレッソの8番は誰が何と言おうと森島さん

――ちょっと意外だったのは、名古屋でも8番を背負ったこと。セレッソの8番を引き継ぎ、自分が思い描くセレッソの8番の理想像と現実とのギャップに苦しんでいただけに、心機一転、違う番号を背負うんじゃないかと。

「正直、セレッソの8番にずっと憧れていて。（香川）真司くん、キヨ（清武弘嗣）も背負ったけれど、セレッソの8番って、誰が何と言おうと、やっぱり森島（寛晃／現C大阪代表取締役社長）さんなんですよ。そのイメージが少しでも俺になるように、こだわって、こだわって、やってきたつもりなんですけど、現実にはできなかった。でも、こだわっていたからこそ、すごく愛着のある番号になって。そうしたら不思議なもんで、娘が8時8分に生まれてきたり」

セレッソの8番としてインパクトを残した森島©Takuya Sugiyama

――そうみたいですね。

「やっぱり、こだわりって大事なんやなって思ったし。もちろん、名古屋で違う番号を着けるのもいいかなって思ったんですけど、『柿谷と言えばセレッソの8番』じゃなくて、『柿谷と言えば8番』というふうになりたいなって。憧れだった森島さんに対するリスペクトの気持ちもずっとあったし。ただ、名古屋にも今まで8番を背負ってきた選手の思いとかイメージもあるやろうから、簡単に自分の番号にならないことも分かっていて。それでも、『8番と言えば柿谷』と思ってもらえるように、と思って選びましたね」

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