“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「そんなに若くないと思っています」19歳松岡大起はなぜそんなにストイック?【“育成のサガン鳥栖”の象徴】
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/02/27 06:00
高校2年でトップチームに昇格し、今やサガン鳥栖で欠かせない選手となっている松岡大起。彼が後輩たちに見せた姿がユース躍進の要因の1つとなっている
トップでの結果が、良いサイクルを生む
今シーズンのJ1には降格の枠が4つもある。鳥栖は12年にJ1昇格して以来、一度もJ2に落ちていない。だが、14年に5位という最高順位を叩き出してからは、17年を除き2桁順位。直近の3年では14位、15位、13位と沈んでいる。鳥栖にとって、例年以上に厳しい戦いになることは間違いない。
「育成の鳥栖」と評されるのだから、トップチームでもきちんと結果を残さないといけない。それを誰よりも痛感しているのは松岡自身だった。
「アカデミーの選手たちは必ずトップチームを見ているので、僕らが結果を残してこそ、サガン鳥栖でサッカーをしたい、トップに昇格したいという選手が増えていく。それがクラブとしての良いサイクルが生む。それを僕らが作っていきたいと思います」
続けて、松岡はこう言い切った。
「19歳って、サッカーの世界ではそんなに若くないと思っていますし、もう10代の選手がJリーグの試合に出ることは珍しいことじゃない。だからこそ、僕も積み上げてきたものを見せ続けないとすぐに埋もれてしまう。象徴という言葉は、僕にはまだ程遠いし、遅れをとっているという感覚しかありません」
自分に厳しい言葉を吐きながらも、その表情はどこか楽しそうに感じる。うまくいかないからこそ、サッカーは楽しい。飽くなき求道者は、笑顔を引き連れながら、未来に伸びる道を歩いている。