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交際0日で結婚→ブラジル代表コーチ中に妊娠→長男出産… 藤井裕子監督と夫のスゴい柔道指導者人生
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byNaoki Nishimura/AFLO
posted2021/02/24 17:11
2019年世界柔道での藤井裕子監督
「受け身はお手のものですから、お腹は保護しました。それでも体は激しく動かすし、遠征で飛行機に乗ることもある。本当は妊婦がしてはいけないこともやっていました。
出産直前まで仕事を続け、2014年1月22日、長男の清竹を産んだ。多くの困難を乗り越えての出産でもあり、涙が止まらなかったですね。出産後、4カ月間休んでから仕事に復帰しました」
赤ちゃんの世話はどうしていた?
――赤ちゃんの世話は?
「母乳で育てたかったので、リオ市内での練習には必ず息子を連れて行きました。夫に面倒をみてもらって、練習の合間に授乳をする。遠征のときは、夫に預けました。
子供と離れるのはつらいけれど、自分には仕事がある。子供が生まれたことを理由にして仕事ができなかったら、子供に申し訳ない――。そう思って、清竹が産まれたことをモチベーションに変えました」
――赤ちゃんを練習場へ連れて行ったときの柔道関係者や選手たちの反応は?
「皆、とても可愛がってくれて、練習場のマスコットのようになりました。ブラジル人は子供にとてもやさしくて、日常生活でも助けてもらえることが多かったです」
――出産を挟んで、コーチとしての仕事は順調でしたか?
「ポルトガル語を覚え、ブラジルの事情やブラジル人のメンタリティもわかってきました。仕事は、次第に軌道に乗っていきました」
ところが、その後、裕子さんは重大な試練に見舞われることになる。
(第3回に続く。第1回を含めて関連記事からもご覧になれます)
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