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交際0日で結婚→ブラジル代表コーチ中に妊娠→長男出産… 藤井裕子監督と夫のスゴい柔道指導者人生
posted2021/02/24 17:11
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO
愛知県大府市出身の藤井裕子さんは、2010年から英国柔道女子代表のコーチを務め、2012年ロンドン五輪で好成績を挙げるべく日夜奮闘していた。
一方でブラジル五輪委員会は2016年リオ五輪で好成績を挙げるため、20を超える種目で30人以上の外国人指導者を招聘しようとしていた。
ブラジル柔道連盟の関係者が英国女子代表を指導する裕子さんに対し、『ロンドン五輪が終わったら、ブラジル柔道男女代表の技術コーチをしてくれないか』と打診していた。
そのような状況で、裕子さんが2011年末に日本へ一時帰国した際、前年にロンドンで短期間会っただけの陽樹さんが、交際0日でありながらプロポーズを敢行したのだという。その辺りの経緯について、教えてもらった。
東日本大震災があって、何が起きるかわからないと
――それまで全く交際していなかったんですよね? どうしてプロポーズしたのですか?
陽樹さん「2011年3月に東日本大震災があって、世の中は何が起きるかわからないと思った。やりたいことを躊躇せずやるべきだと思い、『好きな相手と結婚したい』という願望も出てきたんです。それで自分にふさわしい結婚相手を考えていたら、裕子さんのことが思い浮かんだ。ユニークな人で、彼女となら面白い人生が歩めるのではないかと。
その年末、一時帰国した彼女と名古屋駅で待ち合わせたんです。昼食を取るためレストランへ歩いて行く間に『今、交際している人がいますか』と聞いたら、『いない』という返事だった。それなら、とプロポーズをすることに決めた。当たって砕けろ、という気持ちでした」
“ブラジルに行く”と伝えたら絶句した
――裕子さんはどう思ったのですか?
「もちろん、驚きました。でも、以前から『この人は、普通の人と少し違う』と思っていた。それもあって、『交際0日でもプロポーズするほどの無謀な勇気に乗ってみるかな』と思った(笑)。この人となら、外国でも一緒にやっていけるかなと…。
でも、私は2013年からブラジルでコーチをすることを打診され、受けるつもりでいました。そのことを伝えたら、彼は絶句してしまった」
――このときの陽樹さんの心境は?