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「今季最高のダンク」の写真が証明する渡邊雄太の“恐れないメンタリティ” NBAラプターズでのリアルな現在地
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2021/02/23 17:00
フィジカルを課題と理解しつつも「やれることはある」と努力を積み重ねる渡邊。コーチ陣の評価にもポジティブな言葉が並ぶ
渡邊の冷静な自己分析
その7試合のうちの1試合、1月11日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦は彼がローテーション入りしたかと思ったタイミングで、出場の機会がなかった試合だった。その数日後、渡邊がオンライン会見に出てきたときに、ブレイザーズ戦で出場しなかった理由について、ヘッドコーチのニック・ナースから何か言われたか聞いてみた。それに対して、渡邊はこう答えた。
「試合に出なかった理由は特に言われていないです。コーチと話したわけじゃないんで、僕のあくまで憶測なんですけれど、ブレイザーズのバックアップ4 (パワーフォワードの控え)がカメロ・アンソニーで、けっこうポストアップでゴリゴリしてくるタイプの4番ポジションなんで、まだそこに対しての僕のディフェンスの信頼っていうのは得られていないのかなって。正直、それは試合前から思っていて、(試合に出ない)予想はしていました」
試合前から出ないことも予想していたとは、かなり冷静に分析しているのだと感嘆した。
課題のフィジカル「やれることはある」
フィジカルの強い相手に対してパワー不足というのは、渡邊にとって日本にいるときからの課題だ。アメリカに来てから年々身体を鍛えてきて、NBAでプレーできるまでにはなったが、それでもパワーの強い選手に対しては、まだ力は及ばない。
「継続して努力はしているんですけれど、身体(に筋肉)がつく、つかないは体質も多少あると思いますし、そこは当然、自分のウィークポイントでもあるんですけれど、ただ、それを言い訳にはできない。コートに出してもらっている以上は、自分のもっている力で活躍しないといけない。
だから、フィジカルで相手に負けてしまう分、運動量をもっと増やしたりだとか、フィジカルな相手にあたってもやれることは全然あると思う。当然、これからもウェイトトレーニングとか、しっかり食べで身体を強くしていくっていうのは大事なことなんですけれど、そこで仮に負けていたとしても、他の部分でしっかりと補えるようにはしていきたいなと思っています」
そう語ってから数試合後のインディアナ・ペイサーズ戦で、渡邊はペイサーズのビッグマン、マイルズ・ターナーに1対1でマッチアップし、押し込まれることなくポジションをキープし、相手のオフェンスファウルを誘った。
試合後、渡邊はその場面についてこう語っている。