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「今季最高のダンク」の写真が証明する渡邊雄太の“恐れないメンタリティ” NBAラプターズでのリアルな現在地
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2021/02/23 17:00
フィジカルを課題と理解しつつも「やれることはある」と努力を積み重ねる渡邊。コーチ陣の評価にもポジティブな言葉が並ぶ
エドワーズとのシーンが示すこと
最後にもう一度、冒頭のエドワーズにダンクを決められたシーンの話に戻す。
このとき、エドワーズは渡邊が守っていた選手ではなかったが、チームメイトが抜かれたため、ヘルプ・ディフェンスに出た結果、上からダンクを決められてしまった。出るのが少し遅れたため、ブーチェビッチのときのように「タイミングよくブロック」とはいかなかった。タイミングよく出ていたとしても、相手はハイライト製造マシーンのエドワーズ。結局はダンクを決められていたかもしれない。
しかし、失敗することや、ポスタライズされることを恐れていたら、成功もない。向かっていったからこそ、自分の課題もわかる。
NBAは超人のような選手たちがそれぞれの持ち味を発揮し、一瞬の隙を狙ってしのぎを削るような世界だ。その中で渡邊は、自分の長所だけでなく、弱点もしっかりと理解したうえで、戦い方を考え、努力を続けている。今シーズンだけでなく、この先、何年も、そんな世界でしぶとく生き残り続けていくために。