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奇才ビエルサの下で覚醒 リーズのバムフォードは“ヤワなお坊ちゃん”から頭も育ちもいいストライカーに 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/02/22 17:00

奇才ビエルサの下で覚醒 リーズのバムフォードは“ヤワなお坊ちゃん”から頭も育ちもいいストライカーに<Number Web> photograph by Getty Images

ビエルサ率いるリーズは、いまプレミアで最も観る価値のあるチームの1つだろう。そんなチームを牽引するのが遅咲きのストライカー、バムフォードだ

レスターとの2試合で示した成長

 例えば、レスターとの今季2試合。昨年11月のホームゲーム(1-4)では2度の決定機をふいにしてファンにも非難された。

 SNS上では近距離からフリーで打ったヘディングがGKの正面をつき、ゴール正面に出たボールへのタッチを誤ったプレーで「2部レベル」と呼ばれ、3得点に絡んだ相手の「バーディーがウチにいれば」とまで言われた。

 しかし、今年1月のアウェイゲーム(3-1)では、1ゴール2アシストのバムフォードがマン・オブ・ザ・マッチを獲得した。

 スピードもコースも完璧なスルーパスでスチュアート・ダラスの同点ゴールを演出し、ラフィーニャのラストパスからゴール右上に鮮やかな逆転ゴールを決め、広大なスペースに抜け出たカウンターからジャック・ハリソンの3点目をお膳立てした。

 試合後、指揮官に「自分で打っても不思議でない場面で、より確実なアシストを選んだ判断が素晴らしい」と称えられたストライカーは、それまでの4試合でゴールがなくてもガツガツしていなかった。

 レスターとの一戦は、イングランド代表のガレス・サウスゲート監督も視察していた。

 バムフォードの代表キャリアは、2013-14シーズンに呼ばれたU21レベルで幕を閉じたと思われていたが、当時のU21代表監督は他ならぬサウスゲートだった。

代表入りへ。苦労人が追うもう1つの夢

 ビエルサ監督のリーズで輝いているストライカーは、ボールを支配して攻める基本姿勢が共通するサウスゲート監督のイングランドにも向いている。冷静で、オフ・ザ・ボールの動きが賢く、ポストプレーや素早い連係もこなせる。

 ドミニク・カルバート・ルーウィンやカラム・ウィルソンに続いて、ハリー・ケインの交代役候補として代表に招集してみる価値はある。

 今夏に開催が延期されているEURO2020のメンバーに食い込めれば、チェルシーでの夢が叶わなかったバムフォードも、もう1つの夢は叶う。

 かつて、悪夢のような対戦相手としか思えなかったリーズは、勝っても負けても、いい試合をする「観たいチーム」へ変わっている。

 そのリーズを最前線でリードするセンターフォワードに、夢を見る資格は十分だ。

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