プレミアリーグの時間BACK NUMBER
奇才ビエルサの下で覚醒 リーズのバムフォードは“ヤワなお坊ちゃん”から頭も育ちもいいストライカーに
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/02/22 17:00
ビエルサ率いるリーズは、いまプレミアで最も観る価値のあるチームの1つだろう。そんなチームを牽引するのが遅咲きのストライカー、バムフォードだ
レンタル先でのブレークは、7年前の2013-14シーズンまで遡る。
前半戦は移籍2シーズン目だったMKドンズ(3部)で14得点。ダービー(2部)へ移りステップアップを図った後半戦も8ゴール3アシストを記録した。
本来であれば、翌シーズンのミドルズブラ(2部)が最後の修行先となるべきだった。本人も「チェルシーの一軍選手になるために」と公言し、チャンピオンシップでのフルシーズンに挑んでいた。
そして、その年に17得点を奪い、リーグ年間最優秀選手となってチェルシーに戻ってきた。にもかかわらず、さらに3度のレンタル移籍を経て、ミドルズブラに売られることになったのだ。
2015-16シーズン当時の監督が、今季途中まで指揮を執ったフランク・ランパードや、後任のトーマス・トゥヘルのように若手起用に積極的であれば、チェルシーでもチャンスはあっただろう。
実際、主砲のジエゴ・コスタと控えのロイク・レミーに次いで、3番手を争いながら一軍に置かれるだけの力は示していた。
だが、移籍市場での補強を近道と考えるフロントと、その姿勢自体に異論はないジョゼ・モウリーニョ体制下のチェルシーには、ラダメル・ファルカオとアレシャンドレ・パトが加入することになる。
「ヤワなお坊ちゃん」
2017年に完全移籍で去ったバムフォードは、「チェルシーでのプレーが夢だったけど、ちょっとうぶだったかもしれない。それでも、僕にとってはハッピーな時間だった」と、2度目のミドルズブラ入り後に口にしている。
実に彼らしいコメントだが、くよくよしないおおらかな性格は、プロ選手として周囲の評価を勝ち取るうえでは、ハンディとなってきた。
学費の高い私立校に通っていた学歴もあり、プレミアではトップの世界では生き残れない「ヤワなお坊ちゃん」とのイメージも拭い去らなければならなかった。