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【Vリーグ女子で21戦全勝】東レ22歳主将・黒後愛が語る、“競い合うように得点を奪う”攻撃力の秘訣
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2021/02/20 06:00
好調の東レを牽引するキャプテンの黒後愛。石川真佑ら多彩なアタッカー陣を揃えている
明るい東レ、越谷監督の“ポジティブ”な言葉
今季主将となった黒後はまだ22歳。東レ・越谷章監督は、「チームにとって影響力がある非常に重要なキープレーヤーだと思っているので、キャプテンにして自覚を持たせようと。自分のプレーの質も高めながら、チームがどうすればうまくいくかを考えることによって、振る舞いも変わってきたんじゃないかと感じます」と語る。
そのほか、司令塔の関は21歳、石川やリベロの水杉玲奈は20歳。クランやミドルブロッカーの大野果歩、井上奈々朱という経験豊富な選手もいるが、ほとんどの選手が20代前半の若いチームだ。その若い選手たちを、今季就任した越谷監督が伸び伸びとプレーさせている。
越谷監督は選手たちの表情を注視している。明るい表情でできているか。今季、選手に言い聞かせているのは、「攻めろ」「取られたら取り返せばいい」ということだ。
「若い選手が多いので、プレッシャーがかかると、以前はそれに負けているような、自分たちで追い込まれていくような感じがした。だから今季はとにかく、攻撃が持ち味のチームなんだから、気持ち的にも攻め続けようよと常に言い続けてきました」
ミスをしても切り替え、前向きに攻めるその姿勢が好循環につながっている。
また越谷監督は、「僕が話したことを、主将の黒後がしっかり理解してくれて、チームに浸透させてくれているのが大きい」と言う。
監督、選手の話を聞いていると、強い信頼関係を感じる。越谷監督は、話し方はひょうひょうとしているが、内面は熱血漢だ。黒後はこう語る。
「越谷さんとのコミュニケーションは、すごく面白くもあり、時にはカッと熱くもしてくれる。自分たちが欲しい時に、何かをくれる、という監督だと思います。基本的には選手たちで考えて、選手たちでバレーを作っていくというところを大事にしてくれています。試合中、いろんな選手に『任せたぞ』って声をかけている場面をよく見ます。選手を信頼してくれているというのを、いろんな部分で感じます」
短時間集中型の練習で「1本1本を大事に」
越谷監督は、「監督の自分がダメだからか、選手が危機感を持って、主体的に動いてくれる」と笑うが、こうと決めたことはぶれない。今季は、昨季までより練習時間を短くし、短時間集中型の練習を徹底してきた。昨季までは午後練習を3時間半ほど行なっていたが、今季は2時間半~3時間弱に凝縮し、内容も実戦形式が多くなった。午前中はトレーニングやミーティングのみ。昨季までコーチを務めていた際、張り出されたその日の練習メニューを見て、選手がペース配分しているように見えたからだという。
「ダラダラやりたくないから。長い時間練習しないと不安なのかもしれないけど、あえて短くして、その中で本気を出して欲しい、1本1本を大事にして欲しいということを、選手たちに言いました。限られた時間でどれだけ集中して、全力を出してやるかが、すごく重要だと思うので。そのあたりの意識が変わった分、出だしから集中力を持ってできる試合が多くなったのかなと思います」
黒後は、「時間が短くなった分、どれだけ1本に対して、試合と同じ状況に、気持ちと体を持っていけるかというところは、本当にチーム全員が意識してやっているところです」と言う。