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【Vリーグ女子で21戦全勝】東レ22歳主将・黒後愛が語る、“競い合うように得点を奪う”攻撃力の秘訣
posted2021/02/20 06:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO SPORT
「さぁ行こー!」
試合前の円陣に響き渡る黒後愛キャプテンの甲高い掛け声から、東レアローズは21個の白星を積み重ねてきた。
昨年10月17日のV.LEAGUE開幕戦から、21勝0敗。全勝の1位でレギュラーラウンドを終えた。
今シーズンの東レの武器は攻撃力。特に日本代表の黒後、石川真佑、スロバキア出身で身長198cmのクラン・ヤナの3人がいるサイド攻撃は大きな強みだ。
サーブレシーブが乱れると、攻撃が1人に限られてしまうチームも多い中、東レは3人がハイボールもしっかりと打ち切って得点につなげられる。黒後と石川はサーブレシーブにも入り、相手のサーブにターゲットにされながらも、攻撃でも存在感を発揮。3人がバランスよく、というよりも、まるで競い合うように、得点を奪う。
黒後も、2歳年下の石川も、高校時代は下北沢成徳のエースを務めた。コロナ禍の中、例年より少ない観客で、しかも声援が禁止されたいつもより静かな体育館に、黒後や石川がトスを呼ぶ大きな声が響き渡る。セッターにとってはうれしい悲鳴のようだ。
セッターの関菜々巳は「みんなが『私に持ってきて!』とか『なんで私に持ってこないの!』という感じなので、本当に、どこに上げればいいか迷うところはあります」と苦笑した。
それを隣で聞いていた黒後は、「1個目標達成かな」と笑った。
「セナ(関)を迷わせることが、今シーズンの私の目標の1つなので」
チームのアタック決定率はNo.1
セッター対角に入る黒後は、昨季は攻撃面が課題だと感じ、今季は決定力を上げセッターの信頼を勝ち取ることをテーマにしていた。
トスが上がってこないと、悔しくて床を蹴とばしてしまうこともある。
「でも、ちゃんと私のことを気にかけて、『自分を信じて上げていいからね』と言ってくれるので、ありがたいです」と関は笑う。
「最終判断をするのはセッターなので、セッターが上げたいと思ったところに、トスは自然と上がってくる。だから私は上げたいと思ってもらえる選手にならないといけない。(トスを)呼ぶけど、決めるのはセナだから」と黒後。
関は、攻撃力のあるサイドをバランスよく活かしながら、返球が正確に返れば積極的にミドルブロッカーを使い、チームのアタック決定率1位でレギュラーラウンドを走り抜けた。