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【インタビュー】29歳武尊が語る“過去最高の自分”「魔裟斗さんは一番強い時に引退した。そういう感覚に近い」
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/02/20 11:04
昨年の大晦日、RIZINの会場に訪れて話題を呼んだ武尊。今は3月のタイトルマッチしか見ていない
レオナ戦、勝敗のポイントは……
――レオナ選手はリーチがあるわりに、意外と近い距離での戦いが強いという印象もあります。
武尊 でも、詰められたときはけっこうクリンチで逃げたり、そういうところもある。あとは、気が強いんだろうなというのは感じますね。気の強さというのは格闘家にとってすごく大事だし、それがあるからチャンピオンになっていると思う。
――テクニックやセンスだけじゃない?
武尊 そうですね。だから競り合いの試合が多い。競り合いの試合を最近は勝っていますし。
――3月の試合では、距離を詰めて戦いたいという考えでいるんですか。
武尊 詰めるところは詰めたいですけど、遠い距離で戦えるときは遠い距離でも。
――レオナ選手は「蹴りが多くない」と見る人もいると思うんですけど、それはどうですか。
武尊 いや、ローも蹴るし、膝も蹴る。だから、打つ攻撃は違いますけど、意外と(自分とタイプが)似ているかなと。僕も意外とパンチだけで倒すというより、蹴りをしっかり出しているので。
――レオナ選手は会見で、今回初めてちゃんと武尊選手の映像を見て臨みますと話していました。
武尊 毎回いろんな対策、研究をされながらやっているので「どうぞ見てください」という感じですね(笑)。
――試合では早めに決着をつけたいですか。
武尊 KOで終わらせるのが一番の目標ではあります。ただ倒したいと思っても(そう簡単には)倒せない。3ラウンド戦い切るつもりで練習していますし、そういう意識で戦おうとは思っています。
――ズバリ、勝敗のポイントは?
武尊 ポイントは……(笑顔ではぐらかす武尊選手)。そこはお互いの狙いどころでもあるし、気をつける部分でもあるので内緒です(笑)。
「試合になったら立場は関係ない」
――話を変えましょう(笑)。この1年間、武尊選手はいろいろな技の引き出しを作っているように感じます。
武尊 今まで使っていなかった攻撃もあるし、ボクシングも習ったりとか、いろいろやっています。でも、今までやってきたところが一番信じている部分なので、そこは崩さないように。プラスアルファみたいな感覚で、使えるものを採り入れるぐらいの気持ち。だからそこまで大きくは変わらないのかなと思います。相手の動きによっても変わってくるので、試合当日にならないとわからないです。
――格闘技人生の中で今回のレオナ・ペタス戦は、どういう意味があるのでしょうか。「K-1対Krush」という見方をしている人もいらっしゃいますね。
武尊 自分にメリットがある戦いというよりかは、けじめじゃないですけど、アマチュア(の戦績)では1勝1敗ですし、ここでしっかりレオナ選手に勝つことによって「K-1最強」を証明できるかなと思っています。
――ドキュメンタリー番組で、レオナ選手が「K-1対Krushじゃなくて、格闘技界対Krush」と語っていました。つまり、武尊選手は格闘技界を背負っていると。
武尊 それは自分でも背負っているつもりです。でも僕は試合になっちゃえば、自分がチャンピオンということを忘れるようにしています。守るものがある人は強いけど、それが自分のパフォーマンスを下げる要素にもなるというか、恐怖によっていけなくなっちゃうということもある。それはチャンピオンになって、防衛戦が続いたときに感じました。
試合になったら自分の立場は関係ない。負けたらチャンピオンではなくなるわけだし、むしろ、今回のようなタイトルマッチの場合は、チャンピオン対チャレンジャーではなく、始まった時点でチャンピオンは空位になっている状態。勝ったほうがベルトを獲れるという感覚で試合に臨むようにしたい。リングの戦いだけに集中する。そこを全力で楽しんで(ベルトを)獲りにいく。
――多くのファンが楽しみにしています。
武尊 うれしいですね。そこは(自分自身も)感じているので、その期待に応えたい。そこがいいモチベーションになっているのかもしれないですね。
――試合まで、あと1カ月ほど。どういう時間を過ごして、どんな状態でレオナ選手と拳を合わせたいですか。
武尊 過去最高の武尊を作ってリングに上がりたい。それをお客さんに見せたいですね。