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「アジア人はナメられてるから…」スペイン移住9年、元ヴェルディ46歳石塚啓次は19歳久保建英をどう見ている?
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byJ.LEAGUE/Daisuke Nakashima
posted2021/02/20 17:06
94年ヴェルディ川崎時代の石塚(左)と2019年バルセロナでの石塚
「そこは、やっていたうちに入らないけどね。どっちも3か月でクビ。グランパスは、ヴェルディで一緒だったネルシーニョ(監督)が最後に呼んでくれて。フロンターレは1年契約だったのが3カ月で辞めてくれって言われたけど、なんでか理由はようわからんかった(笑)」
03年限りで29歳で引退。その後アパレル業界で注目を浴びたことなどを思えば、徐々にサッカーから興味が離れていってしまったようにも映るが、本人はそんな邪推を否定する。
事実、石塚は02年以降、シンガポールやアルゼンチン、パラグアイやイタリア、クロアチアに渡って練習参加やテストを繰り返すなど、現役続行の方法を模索していたそうだ。
「シンガポールはたまたま旅行やったけど、現地にヴェルディ時代の後輩がいて、あるチームの練習に1日だけ参加したら合格って言われて。でも、シンガポールでやるのもなんか違うと思って。アルゼンチンでもやってみたくて現地に行った。あとは、イタリアのペルージャ。そのときは外国人枠の登録問題で、契約できないのはわかってたけど航空チケットも用意したあとやったので、スイスかオーストリアの合宿だけ参加させてもらい……。いい感触もあったんだけど、しゃあないといえばしゃあない」
「こう見えて意外と引っ込み思案なんで」
契約には至らなかったが、チャンスがあれば海外でプレーしてみたい、そんな思いが強かったと振り返る。
「ただ、性格的にもそうだし、すべての面で日本でしか無理だったということ。海外向きに見える? こう見えて意外と引っ込み思案なんでね(苦笑)」
サッカーは見るものではなく、プレーするもの。コロナ禍でグラウンドが使えなくなる前は、毎週日曜日の朝に知人たちとボールを蹴っていた。
「基本、やるのが好きで教えたり見るのは興味がないというか。こっちでも試合を見たいと思ってバルに行くのは(バルサとレアルが対戦する)クラシコぐらい。カンプ・ノウに行くのはチケットをもらったときだけで、自分で買ってまでは行かない」
「アジア人はナメられている」
サッカー情報はニュースでチェックする程度という石塚だが、日本サッカーについてはどう見ているのだろうか。スペインでは現在、日本代表候補でもある久保建英(ヘタフェ)、岡崎慎司(ウエスカ)、乾貴士、武藤嘉紀(ともにエイバル)、柴崎岳(2部レガネス)、安倍裕葵(バルサB)らがプレーしている。欧州のなかでも文化的に違いの大きいスペインで、日本人選手が活躍するのは、難しいとも言われて久しいが……。