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「ラーメン屋のほうが儲かったかも」“ヴェルディ川崎の天才”石塚啓次46歳、スペイン移住の厳しさを語る
posted2021/02/20 17:04
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Daisuke Nakashima
「いまは昼しか営業できないので、昼の2時間だけ営業している感じ。夜はテイクアウトならできるんやけど、持ち帰りをやってもお客さんは来いひんしやってない。バルセロナは22時以降外出禁止やけど、たしかパリ(フランス)は18時以降外出禁止で店内営業もできひんみたいだし。今後もっとひどくなるかもしれへんし、先はまったく見えへん」
画面の向こうでそう話すのは、元Jリーガーの石塚啓次(46歳)。かつてヴェルディ川崎などでプレーし、引退後はアパレル業界での活躍も報じられてきた彼は現在、スペインのバルセロナでうどん屋を営んでいる。
12年に妻と4人の子ども(1男3女)とともにバルセロナへ移住した石塚は、現地で14年にうどん屋「YoI Yoi Gion 宵宵祇園」をオープンし、自ら厨房に立ってきた。店は、街の中心部のグラシア通りとディアゴナル通りが交わる交差点付近の好立地にあり、オリジナルの極太うどんに昆布と煮干し、鰹節から取ったこだわりの関西風出汁が人気を博し、約50席ある店内はいつも賑わっていた。だが、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で、そんな状況も一変した。
「去年は3月から6月まで店を開けることもできなかった。ウチの店は元々ランチ中心だったので、夜中心の店よりはまだいい方。ただ、ギリギリでやってるし、昼の店内営業がまたできなくなったり、持ち帰りだけになったらヤバい。もう期待も何もしてへんけどね(苦笑)」
「ウチの大家はケチやから」
場所柄、客層は観光客というよりもビジネスマンが中心だった。バルセロナでも感染者の増加とともにテレワークが推進され、オフィス街からは人けが消え、店の売り上げは大幅に減少。最近は少しずつ常連客が戻りつつあるが、それでも100%には遠い。