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フィギュア界「金メダリストは名コーチになれない」は本当? プルシェンコはジンクスを破れるか

posted2021/02/16 17:00

 
フィギュア界「金メダリストは名コーチになれない」は本当?  プルシェンコはジンクスを破れるか<Number Web> photograph by Getty Images

トリノ五輪男子シングルの金メダリスト・プルシェンコ。トゥルソワやコストルナヤをどのように育てるか

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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 2月9日、アメリカのアイスダンスチーム、クリスティナ・カレイラ&アンソニー・ポノマレンコがコーチを変更することが発表された。日本ではまだ馴染みが薄いかもしれないが、長年のフィギュアファンだったらすぐにピンとくる名前だろう。

 ポノマレンコは1992年アルベールビルオリンピックのアイスダンス金メダリスト、マリーナ・クリモワ&セルゲイ・ポノマレンコの息子なのである。当時すでに夫婦だった2人がアルベールビルで見せたフリー「G線上のアリア」は、見終わってしばらく放心するほど情熱的で迫力に満ちたプログラムだった。

 鍵山優真をはじめとして、このところ二世スケーターの活躍が目立つ。だがアンソニー・ポノマレンコの特殊なところは、ポノマレンコ夫妻は引退後コーチになったものの、現役時代の苦労を思って自分たちの子供はスケーターにするつもりがなかったことだ。だが結局アンソニーは自らスケートを選び、しかも両親と同じアイスダンサーになった。そしてパートナーのカレイラと長年イーゴリ・シュピリバンドに師事したが、2月からカナダのスコット・モイアの指導を受けることになった。

金メダリストは名コーチにならないというジンクス

 一方ポノマレンコ夫妻はカリフォルニアでコーチとしての活動を続けている。だがあれほど歴史に残る名選手なのに、コーチとしてはまだトップ選手を1人も育成していない。彼らのライバルだったマイア・ウソワ&アレクサンドル・ズーリン(1992年オリンピック3位、1994年オリンピック2位)のズーリンが、2006年トリノオリンピックのアイスダンス金メダリスト、タチアナ・ナフカ&ロマン・コスタマロフを始めとする、多くのトップ選手を育ててきたのと対照的だ。

【次ページ】 名コーチはなぜか銀メダリスト?

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