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「ダーク・ノビツキーか金丸晃輔か」元NBA選手も称賛するシーホース三河のエースの“異能”
posted2021/02/06 11:00
text by
山田智子Tomoko Yamada
photograph by
B.LEAGUE
3シーズンぶりに、シーホース三河は地区首位でレギュラーシーズンの前半戦を折り返した。
戦前の評価は決して高かったとは言えない。それも仕方がないだろう。橋本竜馬、比江島慎が抜けた2018-19シーズンは初めてチャンピオンシップ(CS)進出を逃し、昨季は勝率が5割に届かなかった。加えて、今オフにはチームの大黒柱であった桜木ジェイアールが引退。オフェンスはリーグ屈指だが、ディフェンスの力がタイトル獲得を決めると言われている中、ディフェンスに課題がある三河を優勝候補に推す声は少なかった。
開幕から4分の1を終えた時点でも、そうした評価は変わらなかった。出場メンバー中の6人が二桁得点を挙げて快勝したかと思えば、次の試合では驚くほど低調な内容に終わる。好不調の波が大きかったからだ。
しかし、後半戦を迎える今、筆者は自信を持って言える。「今年の三河は強いし、おもしろい」と。その確信の根拠は、昨年12月2日の琉球ゴールデンキングス戦にあった。
「三河のバスケははっきりとした形がなく、アジャストしづらい」
「ここ数年とは全く違ったバスケットをお見せします」と開幕前に鈴木貴美一ヘッドコーチ(HC)が宣言していた通り、今季の三河は「スペースを広く取って、ボールと人が動くバスケット」を披露している。
エースの金丸晃輔も「みんながボールを触ってバスケットをしている時が、一番うちのいい味が出ているんです。そうなると、いろんなズレが起きてくるので、僕もそういう形がやりやすいんですよ。僕のところにマークが集中することが多いので、他の4人が生きてくる場面もあるし、何と言うか、楽にプレーできています」と新スタイルに手応え十分だ。
「三河さんのバスケットははっきりとした形がないので、アジャストしづらい」
西地区首位攻防戦となったその12月2日の試合は、3Qで逆転した三河が86–82で琉球に勝利した。琉球の藤田弘輝HCが発した敗戦の弁が、今季の三河の強さをよく表現している。
カイル・コリンズワース、柏木真介、長野誠史、熊谷航、特徴が異なる4人のポイントガード(PG)に加え、スコアラーの川村卓也、ダバンテ・ガードナーもパスに長けている。ビッグマンのシェーファー アヴィ 幸樹も昨シーズンはほとんど打っていなかった3Pシュートを38.9%(1月31日現在)の確率で決め、すっかり自分の武器としている。それぞれの局面においてチーム全員が最善の選択をし、最終的に誰がシュートを打っても得点を取れるというスマートなバスケットを構築しつつある。