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「嫌でたまらなかった」世界最高のSBカフーが最初に望んだのは攻撃的ポジションだった【ドリームチーム選出】
posted2021/02/07 17:01
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph by
Jean-Louis Fel/L’Équipe
『フランス・フットボール』誌2020年12月15日発売号で発表されたバロンドール・ドリームチームの右サイドバックにはカフーが選出された。2位のカルロス・アウベルトに200ポイント近い差をつけての堂々の1位。史上最高の右サイドバックである。
実績からいっても(142回の代表歴と2度のW杯優勝と1度の準優勝、2度のコパアメリカ優勝、クラブではCL優勝と2度のコパ・リベルタドーレス優勝、2度のトヨタカップ優勝とクラブ・ワールドカップ優勝)、また能力とパフォーマンスに鑑みても、申し分のない選考であったといえる(個人的には別の選手=ジャウマ・サントスを1位に選んだが)。
そのカフーのインタビューを、前後2回に分けてお届けする。ドリームチームに選ばれた喜びの声から、プロになるのは絶対に無理と言われた少年時代、憧れだった選手、テレ・サンターナ監督に説得されて不満を抱きながらもサイドバックに定着するまでの経緯などを、エリック・フロジオ記者に語っている。真摯な言葉が伝えるのは、才能とは持って生まれた身体の能力以上に、強い意志を持ちながら妥協なき努力をし続けられる力だということである。(全2回の1回目/#2に続く・肩書などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
優れたサイドバックが生まれるのはブラジルの伝統
――サッカー史上最高の右サイドバックに選ばれたことは何を意味しますか?
カフー 心から誇らしい! 信じられない気持ちでいっぱいだ。このポジションで多くの選手たちを上回ることができたなんて、こんな名誉なことはない。いままでやってきたことが報われたと思う。僕がサッカーの世界で積み重ねてきた実績が認められたわけだ。
――2位がカルロス・アウベルトでジャウマ・サントスも5位にランクインしました。トップ5に3人のブラジル人が入ったのはどうしてでしょうか?
カフー それこそ伝統だと思う。ブラジルはこのポストに関して名声を確立した。ジャウマからカピタ(カルロス・アウベルトの愛称)、そしてカフーへ。3世代にわたり優れたサイドバックを生んだのだから。つまりブラジル人は、年代を問わずこのポジションで優秀な選手を見出せるわけだ。僕がそのひとりとして世代を繋げたことに大きな誇りを感じるし、後を継ぐものたちが続いて欲しいと願っている。
――子供のころや少年時代に憧れた選手は誰でしたか?