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阿部勇樹39歳と柏木陽介33歳 不遇から一転リカルド新体制で輝くか…思い出す鈴木啓太の言葉【J1浦和キャンプ】
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byURAWA REDS
posted2021/02/03 11:03
阿部勇樹(左)と柏木陽介。浦和を長年支えた2人がリカルド・ロドリゲス新監督と出会ってどのようなプレーを見せるか
柏木もミハイロ・ペトロヴィッチ体制終了後、コンディション不良に陥ったり、自身のスタイルとチーム戦術との間で苦しんだりして、出場機会を減らしてきた。昨季は9試合の出場に終わったが、連続起用された秋頃、自らに言い聞かせるように話した。
「自分が入ったことで攻撃が活性化して、良くなってきた手応えはある。今年はなかなか試合に出られなくて、外から見ていて感じたのは、同じリズムでサッカーをしているということ。ワンタッチを入れたり、パスを出して動いたりしないと相手は崩れない。そういうことを意識して今、試合に臨んでいるし、僕自身、自分のスタイルを楽しみながらプレーできるようになってきた。自分が良いプレーをしないと、チームが活性化しないよなって」
リカルド監督はベテランの重要性を説いている
阿部や柏木をはじめ、主力選手の多くが30代となった浦和にとって、世代交代が急務なのは間違いない。だが、若い選手だけで相手との駆け引きに長けたチームを作れるわけではない。リカルド・ロドリゲス監督は、こう語っている。
「大事なことは、全員で1つの大きなチームとなること。ベテランがまだ貢献できることはあるし、若手も自分のやれることを毎日しっかり出してほしい。監督として大切なのは、彼らを誠実に、平等に見ること。若い野心的な選手が来てくれたし、もしかすると在籍していた選手たちの中には、ここ数年、自分の最高のパフォーマンスを出せなかった選手もいるかもしれない。彼らのパフォーマンスをさらに引き出す自信はある」
啓太はミシャから「もっとサッカーがうまくなる」と
監督との出会いがサッカー人生を変えることは往々にしてある。若い選手はもちろん、それがベテランであっても。浦和のOBである鈴木啓太がかつて、こんな風に言っていた。
「レッズでやれることはやったと感じたので、11年限りで離れようと思っていたんです。そんなタイミングでミシャ(ペトロヴィッチ監督)と出会い、『啓太はこれからもっとサッカーがうまくなる』と言ってくれた。実際、サッカーが楽しくなったし、サッカーの奥深さを知ったし、本当にうまくなった。もっと若いときに出会っていたかったですね」
阿部と柏木にとっても、リカルド・ロドリゲス監督との出会いは、サッカー人生を大きく左右するものになるかもしれない。水戸戦でのプレーを見る限り、彼らのプレーは、重要な戦力としても、最高のお手本としても、間違いなく“リカルド・レッズ”に必要なものだ。
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