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伝統業を営む両親の背中を見て…日本ハム4位細川凌平の「覚悟」がすごい! 小学生で“高卒プロ”を決めた理由
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2021/01/30 11:02
栗山監督直筆の「共に天下を」というメッセージを手に意気込みを語った細川凌平。小さい頃から憧れ続けたプロ野球の舞台でどんなプレーを見せるか
細川がプロ志望届を出す時、父の佳介さんは、「20年ぐらい頑張れよ」と言ったという。
佳介さんは49歳。息子がプロの世界で頑張っている限り、3代目として売店船を支え続ける覚悟だ。
「凌平が頑張っているから自分もと、それがお互いにモチベーションになるんです」と笑う。
昨年はコロナ禍で観光客が激減し、売店船も大きな打撃を受けた。台風による被害を受けたこともある。
母の真理さんは、「こんなコロナとか、もしかしたら台風で流されたりとか、そういうこともあるかもしれないのに続けていくのは、心が折れそうになるけど、この人が帰ってくるとなったら、私らも頑張れる。『継ぎたいと思ってんねやったら、続けていこう』って。そういう相互関係がありますね」と話す。
大変な仕事を続けながら、背中を押してくれる両親の思いをわかっているから、細川の覚悟は並大抵のものではない。
仮契約の際、細川や両親と長時間にわたり話をした日本ハムの大渕隆スカウト部長は、「高校生とは思えない。覚悟がすごい」と感心しきりだった。
「意識が高いし、すでに職業感がすごい。ご家族の影響なんでしょうね。家業をやられているということも関係しているんでしょう。楽しみですね」
「真似してます。いい感じです」
子供の頃からテレビで見たプロ選手の真似をするのが得意だった細川は、以前、「プロに行ったら全員の真似しようかなー」と無邪気に笑っていた。
12月末に智弁和歌山を訪れた際、フリー打撃をする細川のフォームや、スイング後のシルエットが、イチロー氏にそっくりだった。
12月2日から3日間、イチロー氏が智弁和歌山で指導を行なった際、細川は一番近くでその姿を目に焼き付けていた。
「真似してます。いい感じです」と野球小僧は目を輝かせた。
野球への純粋な探究心と、覚悟。少年と大人の顔をあわせ持つ細川が、どんなプロ野球選手になるのか、楽しみでしかたがない。